大規模災害時に、多くの住民の生命・身体に危険が及ばないよう、一時的に避難できるオープンスペース。関東大震災の大火災を教訓に、都市部の住宅密集地で発生する火災旋風から命を守ることを最大の眼目としている。災害対策基本法(昭和36年法律第223号)などに基づき、市区町村が地震、火災、洪水、高潮などの災害ごとに、地域防災計画のなかで指定する。耐震性があり、想定洪水の水位以上の高さにあり、延焼の危険性の低い大規模な公園、墓地、学校、グラウンド、野球場など、公用地を中心に指定されている。徒歩での避難を想定し、避難場所へ移動するための避難経路も指定されている。市区町村が指定する避難場所には、小規模な広場などの緊急(一時)避難場所と広域避難場所の2種類があるが、広域避難場所は火災が多発・延焼して緊急避難場所などが危険になった際、集団で逃げ込むことが可能な安全で広い場所を意味する。国は防災公園計画・設計ガイドライン(1999年制定)で面積の目安を「原則おおむね10ヘクタール以上」としているが、市街地の密集度合い、火災の延焼リスク、確保できる土地状況などが地域によって異なるため、札幌市の20ヘクタール以上から、東京23区の5ヘクタール以上、京都市の1ヘクタール以上など、自治体によって面積基準はまちまちである。東京都は避難場所、静岡市は広域避難地とよぶなど、呼称も異なる。国と自治体は大規模災害発生時に、他の自治体から避難者を広域避難場所に受け入れる仕組みづくりに取り組んでいる。なお、洪水などによる広域避難においては滞在が24時間程度に及ぶことが想定され、受け入れ自治体の学校、公民館などの屋内施設の利用が計画されている。2022年(令和4)時点で、東京都区部に221か所、横浜市に112か所、千葉市に38か所の広域避難場所がある。また、公園などオープンな空間である避難場所とは別に、市区町村は学校の体育館など寝泊りできる一般避難所と、高齢者や障害者が避難する福祉避難所を設けている。
[矢野 武 2022年12月12日]
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