一般の避難所で生活するのが難しい高齢者や障害者、乳幼児、妊産婦、難病患者ら「要配慮者」を受け入れる避難所。災害対策基本法に基づき市区町村が指定するものと、施設側と協定を結んで確保するものがある。高齢者施設や障害者支援施設のほか、ホテルや旅館に開設されることもある。内閣府によると、2022年12月時点で全国に計2万5356カ所。
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一般の避難所で過ごすことがむずかしい高齢者や障害者など特別な配慮が必要な人(要配慮者)向けの避難所。災害対策基本法(昭和36年法律第223号)などに基づき、大規模災害や原子力発電所事故時などに、耐震・耐火などの安全性が保たれた滞在に必要な居室を確保し、手すりやスロープなどのバリアフリー設備が整い、介助・助言などの支援を受けられる施設である。老人福祉施設、障害者支援施設、児童福祉施設などが該当する。避難できる人は高齢者、障害者のほか、妊産婦、乳幼児、傷病者、病弱者、難病患者らの要配慮者と、これを介助する家族のみである。食料、飲料水、毛布、簡易トイレ、介護用品、衛生用品、車椅子(いす)、歩行器、酸素ボンベなどを備蓄。災害救助法の適用により、要配慮者約10人当り1人の相談員を配置し、食費や人件費などはすべて公費でまかなわれる。かつては、まず一般避難所へ避難した後に福祉避難所へ移す手法がとられたが、国は、福祉避難所への直接避難を促すよう市区町村に求めている。市区町村が設置する指定福祉避難所と、あらかじめ高齢者施設などと協定を結び災害時に開設する「確保している福祉避難所」がある。2020年(令和2)時点で、全国の指定福祉避難所は9072か所、「確保している福祉避難所」は2万4750か所。
1995年(平成7)の阪神・淡路大震災の教訓を生かし、1996年、災害救助法に基づいて福祉避難所制度が創設されたが、具体的な取り組みは進んでいなかった。初めて設置されたのは2007年(平成19)の能登(のと)半島地震発生時で、翌2008年に厚生労働省が福祉避難所の確保・運営ガイドラインを示し、要配慮者の避難支援の動きが広がった。しかし2016年の熊本地震では一般住民が福祉避難所に押し寄せて機能せず、2019年(令和1)の台風19号の被災地では、混乱をおそれて福祉避難所の公表を控えた自治体もあった。厚生労働省は2021年にガイドラインを改定し、市区町村は事前に受け入れる要配慮者や個別避難計画を決め、一般避難所と福祉避難所を区別して公表し、福祉避難所には要配慮者とその介助者のみが避難できることを周知する制度を導入した。
[矢野 武 2022年12月12日]
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