日本大百科全書(ニッポニカ) 「後愚昧記」の意味・わかりやすい解説
後愚昧記
ごぐまいき
南北朝時代の公卿(くぎょう)三条公忠(きんただ)(1324―83)の日記。1361年(正平16・康安1)から没年までの分が伝わり、そのうち17年分の日記のほか、別記や問答消息がいっしょになっている。また原本(国指定重要文化財)には紙背文書がある。名称は、公忠7世の祖三条実房(さねふさ)の日記『愚昧記(ぐまいき)』にちなむものであろう。著者は1362年(正平17・貞治1)に内大臣を辞したが、内容は、すでに略式化した朝廷の儀式や貴族生活の諸相、見聞に及んだ政治社会情勢、歌壇のようすなど多方面にわたる。
[菅原昭英]
『『大日本古記録 後愚昧記 1・2』(1980、84・岩波書店)』