後発発展途上国(読み)こうはつはってんとじょうこく(その他表記)least less developed countries; LLDC

百科事典マイペディア 「後発発展途上国」の意味・わかりやすい解説

後発発展途上国【こうはつはってんとじょうこく】

least developed countriesの頭文字からLDCとも。1974年の国連総会で定義された。その後何度か改定され,1998年時点では,77ヵ国グループ(G77)の中で,1人当り国内総生産(GDP)が600米ドル以下であり,経済の多角化指数や〈生活の質〉に関する指数によって経済的困難にある国とされる。2010年現在で48ヵ国が該当している。また,世界銀行による,低所得国(LIC;low income countries,1人当りGNPが725ドル以下,59ヵ国約31億人),下位中所得国(LMIC;lower-middle income countries,同726〜2969ドル,69ヵ国約10億人),上位中所得国(UMIC;upper-middle income countries,同2970〜8955ドル,42ヵ国約6億人),高所得国(同8956ドル以上,15ヵ国約6億人)という分類もある。
→関連項目ODA大綱第三世界発展途上国累積債務

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「後発発展途上国」の意味・わかりやすい解説

後発発展途上国
こうはつはってんとじょうこく
least less developed countries; LLDC

正式には least developed among developing countries; LDDC発展途上国のなかでも特に経済的発展が遅れている諸国のことで,第四世界と呼ばれる場合もある。 1974年の国連総会での LLDC選定基準は,(1) 1人あたり平均の国内総生産 GDPが 68年価格で 100米ドル未満,(2) GDPに占める製造業の生産シェアが 10%以下,(3) 15歳以上の人口に占める非識字率が 80%以上であった。その後 87年の国連開発計画委員会において設定された LLDCの新認定基準は,(1) 83~85年の年平均の1人あたり GDPが 427ドル以下,GDPに占める製造業の比率が 10%以下かつ非識字率が 80%超,または (2) 83~85年の年平均1人あたり GDPが 356ドル以下,GDPに占める製造業の比率が 10%以下のいずれかに該当することとなった。 LLDCの経済情勢は依然として困難が続いており,債務削除の対象国となっている。 90年9月の第2回国連 LLDC会議で採択された新行動計画のなかでは,先進諸国に対し LLDCへの特別な配慮を求められている。

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知恵蔵 「後発発展途上国」の解説

後発発展途上国

発展途上国の中で最も経済的発展が遅れている諸国の総称最貧国ともいう。(1)所得水準(1人当たり国内総生産〈GDP〉)、(2)生活水準(出生時平均寿命・1人当たりカロリー摂取量・総合就学率・成人識字率)、及び(3)経済水準(GDPに占める製造業の比率・経済活動における労働力の構成・1人当たり商業エネルギー消費量など)を基準として国連の経済社会理事会(ECOSOC)が認定、3年ごとに見直しを行っている。2007年8月末現在の認定国は、アフリカ34カ国、アジア10カ国を含む合計50カ国。初めて認定作業が行われた1971年11月時点では25カ国であり、過去36年間でその数はむしろ大幅に増加していることになる。なお、国連(UN)は81年以降ほぼ10年ごとに後発発展途上国会議を開催し、持続可能な発展の実現を通した貧困緩和を訴えてきた。

(室井義雄 専修大学教授 / 2008年)

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