後退る(読み)アトジサル

デジタル大辞泉 「後退る」の意味・読み・例文・類語

あと‐じさ・る【後退る】

[動ラ五(四)]《「あとしざる」とも》
あとずさる1」に同じ。
「私はたじろき気味に、…一歩―・ったが」〈嘉村・秋立つまで〉
あとずさる2」に同じ。
まだほんとうに知らねえものと此れには困りて―・るを」〈緑雨・門三味線〉

あと‐ずさ・る【後退る】

[動ラ五(四)]
驚きや恐れなどのために、前を向いたままうしろへさがる。あとじさる。「用心しながらゆっくりと―・る」
ためらって消極的になる。あとじさる。「―・って会長職を引き受けない」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「後退る」の意味・読み・例文・類語

あと‐じさ・る【後退】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「あとしざる」とも )
  2. あとずさる(後退)
    1. [初出の実例]「恟(びっくり)しながら後(アト)じさり」(出典:滑稽本・七偏人(1864)五)
    2. 「恐ろしい砂地である。〈略〉一足毎に後(アト)しざる様で」(出典:満韓ところどころ(1909)〈夏目漱石三三)
  3. あとずさる(後退)
    1. [初出の実例]「未(まだ)ほんとに知らねえものと此れには困りて逡巡(アトジサ)るを」(出典:門三味線(1895)〈斎藤緑雨〉五)

あと‐ずさ・る【後退】

  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙 ( 「あとすさる」「あとすざる」とも )
  2. 前を向いたままで後ろにさがる。あとじさる。
    1. [初出の実例]「人影に気が付いてか、男も女も驚いて、後去(アトスサ)った」(出典:良人自白(1904‐06)〈木下尚江〉前)
  3. 思いきって行動しないで、ぐずぐずする。しりごみする。逡巡(しゅんじゅん)する。あとじさる。
  4. 物事程度後退する。
    1. [初出の実例]「仁義五常を重じて、人情厚き風なりとその名も高かく聞えしが文明開化後過去(アトスサリ)風俗次第に衰て」(出典:頭書大全世界国尽(1869)〈福沢諭吉〉一)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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