改訂新版 世界大百科事典 「御広敷番」の意味・わかりやすい解説
御広敷番 (おひろしきばん)
江戸幕府の職名。大奥の管理・警衛にあたる御広敷向の役人のうち,警衛を主とした役人。責任者は番頭で留守居支配,200石高,役料200俵,人数は9人,交代制で昼夜詰切りで勤務した。番頭の支配下に御広敷添番,同並,御広敷伊賀者,御広敷進上番,御広敷小人,御広敷小仕事之者などが所属する。御広敷御門の長屋中に伊賀者・添番の詰所,小人部屋があり,玄関を入ると番頭部屋・添番詰所があり,玄関正面の奥に伊賀者番所があって,この番所が厳重な板戸を隔てて御殿向に続き,ここが御広敷からの御錠口となっていた。この御錠口からは,男子は9歳以下の子ども,許可のある医師,普請のさい許可をうけた大工など限られた者しか入れなかったが,女性は届け出て出入りすることができたから,この出入りを監察するのが伊賀者番所の役目であった。また御錠口は通常暮れ六つ(午後6時ごろ)に閉じ明け六つ(午前6時ごろ)から開けられたが,この錠の開閉は広敷番頭,添番,伊賀者が立ち会っておこなった。
執筆者:村井 益男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報