室町時代から江戸時代にかけて,下級の身分で内裏,将軍家の雑役を務めた男女の称。内裏,室町将軍家では諸家,諸臣らの対面にあてられた室を御末間(おすえのま)といい,そこには御末と呼ばれる身分の低い侍女が奉仕した。江戸時代には,将軍家,諸大名に仕える奥女中のなかで水仕(みずし),雑役を務めた下級の者を御末といい,彼女らがたむろする室も同様に称した。また,室町時代には,将軍家の食事を調えたり,宿直をしたりする雑役を務めた下級武家を御末衆(おすえのしゆ),御末男衆,御末男などと称し,略して御末とも呼んでいた。1603-04年(慶長8-9)刊の《日葡辞書》には〈Vosuye.ヲスエ(御末)〉の項をかかげて〈女が食事を調える所。また,時には,その台所に勤める女のことを言う〉と解説している。なお,鹿児島県内では炊事用の別棟をオスエ(またはナカエ)という事例があり,宮城県仙台地方でも別棟の台所をオスエと称する。ついでながら女房ことば(女官用語)で御末というのがあり,扇子,すなわち末広の略という。
執筆者:横井 清
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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