御髭の塵を払う（読み）オヒゲノチリヲハラウ

デジタル大辞泉

御髭おひげの塵ちりを払はら・う

《宋の参政丁謂ていいが、宰相の寇準こうじゅんの髭が吸い物で汚れたのを拭いたという「宋史」寇準伝の故事から》高貴の人や権力のある者にこびへつらう。おべっかを使う。

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

おひげ【御髭】 の 塵(ちり)を=払(はら)う［=取(と)る］

1. ( 宋の丁謂(ていい)が宰相の寇準(こうじゅん)の髭が吸物で汚れたのを拭いて、たしなめられたという「十八史略」にみえる故事から ) 目上の人にこびへつらう。おべっかを使う。
   1. [初出の実例]「一向世間へ出て人の御ひげの塵をはらうてこそ居るべけれ」(出典：禅林金詩集抄（1450‐1550）下)

出典　精選版 日本国語大辞典

故事成語を知る辞典

お髭の塵を払う

目上の人に、ひどくこびへつらうことのたとえ。

[使用例] 少々生命がのびたようだな。せいぜい、内府の髭の塵をはらうがよい。長つづきはすまいが［柴田錬三郎＊殺生関白｜1968］

[由来] 「宋史―寇こう準じゅん伝」に見える話から。一一世紀の中国、北宋王朝の時代、丁てい謂いという大臣が、宰相の寇準と食事をしたときのこと。寇準の髭が吸い物で汚れたのを見た丁謂は、立ち上がってそれを拭いてあげました。すると寇準が笑って、「あなたは大臣なのに、『官長の為に鬚ひげを払うや（上官の髭掃除をするのですか）』」と言ったので、丁謂は恥をかかされたと寇準を深く恨みました。後に、丁謂は、皇后と結託して寇準を失脚させることになります。

〔異形〕お髪を払う。

出典　故事成語を知る辞典

ことわざを知る辞典

お髭の塵を払う

目上の人にこびへつらう。おべっかを使う。

[使用例] 本田が今日僕にある人の所へ往ってお髯の塵を払わないかと言ったから、失敬なことを言うと思って［二葉亭四迷＊浮雲｜1887～89］

[解説] 宋の丁てい謂いが宰相の寇こう準じゅんの髭が吸物で汚れたのを拭いてたしなめられたという「宋史―寇準伝」の故事によることば。

〔異形〕お髭の塵を取る

出典　ことわざを知る辞典