改訂新版 世界大百科事典 「微山湖」の意味・わかりやすい解説
微山湖 (びざんこ)
Wēi shān hú
中国,山東省の南西端,中原平野と山東丘陵の間の低窪地に細長く形成される湖。面積660km2。北西につながる昭陽湖,独山湖,南陽湖と合わせて,かつて済寧以北に存在した北四湖に対して南四湖と呼ばれる。総面積は1266km2。湖の東岸を大運河と京滬(けいこ)鉄道(北京~上海)が走り,南北交通の要地を占め,しばしば反体制勢力の拠点となった。ここにはもともと湖水はなかったが,黄河のはんらんが繰り返されるなかで積水し,とくに南宋の1194年(紹煕5),黄河が南流したとき湖面が拡大した。湖中には殷の微子が隠棲したという微山島があり,島上には微子の墓と称される遺跡や,この地に封地をもったという漢の張良の墓をはじめとする多くの漢墓がある。また湖底からも漢代の文物が多く発見され,湖面が広がる前には山東南部(魯南)の一つの中心地であったことを示している。
執筆者:秋山 元秀
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報