狂歌撰集(せんしゅう)。四方赤良(よものあから)(蜀山人(しょくさんじん))編、1785年(天明5)刊。2年前の『万載(まんざい)狂歌集』出版により激増した同好者の作を収めるため、古人や地方人を減らし、また赤良門下の四方連の増加により、唐衣橘洲(からころもきっしゅう)や元(もと)の木網(もくあみ)の系統は減少している。他方、戯作(げさく)者や女流を多く入れてはでな感じを出しているのは、一流の編集技術といえる。おのずから詠み口にも反映して、赤良の「千金の名高き月の雲間よりせめて一二分もれ出(いで)よかし」、頭(つむり)の光の「月みてもさらに悲しくなかりけり世界の人の秋と思へば」、朱楽菅江(あけらかんこう)の「立て見し柱暦もねころんでよめるばかりに年はくれにき」など軽快自由な作が主流で、天明(てんめい)狂歌の基調がここに固まった感がある。すなわち「天明ぶり」を代表する撰集といってよいだろう。
[浜田義一郎]
『杉本長重・浜田義一郎校注『日本古典文学大系57 川柳・狂歌集』(1958・岩波書店)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…作者は当代作者はもとより,暁月房,雄長老,由己,貞徳,正式,卜養,未得等まで広く収める。本書は天明狂歌勃興期にライバル唐衣橘洲(からごろもきつしゆう)の《狂歌若葉集》に対抗して編まれたが,趣向をこらして圧倒的人気を博し,続編《徳和歌後万載集》が編まれている。【森川 昭】。…
※「徳和歌後万載集」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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