天明狂歌初発期の代表的撰集。17巻2冊。四方赤良(よものあから)・朱楽菅江(あけらかんこう)編。菅江序,赤良序,橘のやちまた(加藤千蔭)跋。1783年(天明3)刊。書名は《千載和歌集》と正月の三河万歳をあわせもじったもの。長歌3首,旋頭歌2首を含む約700首を,《千載和歌集》に似せて四季,離別,羇旅(きりよ),哀傷,賀,恋,雑,雑体,釈教,神祇に分類編集。作者は当代作者はもとより,暁月房,雄長老,由己,貞徳,正式,卜養,未得等まで広く収める。本書は天明狂歌勃興期にライバル唐衣橘洲(からごろもきつしゆう)の《狂歌若葉集》に対抗して編まれたが,趣向をこらして圧倒的人気を博し,続編《徳和歌後万載集》が編まれている。
執筆者:森川 昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
狂歌撰集(せんしゅう)。編者四方赤良(よものあから)(蜀山人(しょくさんじん))。1783年(天明3)刊。題名は正月の三河万歳と『千載(せんざい)和歌集』にちなむ。『千載集』の17巻の部立(ぶだて)や配列に倣うなど趣向を凝らしつつ、古人から当代に至る230余人の狂歌を集めて、集大成の形を整える一方、文芸界、歌舞伎(かぶき)、芸能、遊里など多彩な人々の作も取り上げて、世人の関心を盛り上げ、江戸狂歌の熱狂的流行の気運をつくった。その中心の赤良の作は、唐詩の心で詠む「知らず心たれかは怨(うら)む朝顔はただ瑠璃紺(るりこん)のうるほへる露」、江戸生活を謳歌(おうか)する「吉原の夜見世をはるの夕ぐれは入相(いりあひ)の鐘に花やさくらん」など自由軽快な調べが特色で、同時に出版された唐衣橘洲(からころもきっしゅう)の『狂歌若葉集』を圧倒し、『徳和歌後万載集』『狂歌才蔵集』と続く「天明(てんめい)ぶり」の一時期を画した。
[浜田義一郎]
『『日本名著全集19 狂文狂歌集』(1929・同書刊行会)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
江戸後期の狂歌集。17巻。四方赤良(よものあから)(大田南畝)・朱楽菅江(あけらかんこう)共編。1783年(天明3)江戸の須原屋伊八他刊。書名・体裁とも平安末期の勅撰集「千載集」のパロディで,当代の狂歌作者を中心に230人余の狂歌748首を,四季・恋・雑などに分類して収める。唐衣橘洲(からころもきっしゅう)の「狂歌若葉集」に触発されてそれに対抗する形で編まれ,企画力や規模・体裁・内容で圧倒したばかりか,天明狂歌随一の撰集となった。「岩波文庫」所収。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社日本史事典 三訂版旺文社日本史事典 三訂版について 情報
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新