心無し(読み)ウラナシ

デジタル大辞泉 「心無し」の意味・読み・例文・類語

うら‐な・し【心無し/裏無し】

[形ク]
心の内を包み隠さない。隔て心がない。
「世のはかなき事も、―・く言ひ慰まむこそうれしかるべきに」〈徒然・一二〉
物事を深く考えない。うっかり安心している。
「かかりけることもありける世を、―・くて過ぐしけるよ」〈朝顔

こころ‐なし【心無し】

思慮分別のないこと。思いやりのないこと。また、その人。
「例の―の、かかるわざをして」〈若紫

しん‐なし【心無し/芯無し】

中に芯を入れてないもの。内部がからになっているもの。「―の帯」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「心無し」の意味・読み・例文・類語

うら‐な・し【心無・裏無】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙
  2. 相手に対して、自分の心の中を包み隠すことがない。また、心の中で相手を警戒したり、疑ったりするような隔て心がない。無心だ。
    1. [初出の実例]「はつ草のなどめづらしき言(こと)の葉ぞうらなく物を思ひけるかな」(出典伊勢物語(10C前)四九)
  3. うわべだけでない。いつわりがない。二心がない。
    1. [初出の実例]「うしとても更に思ひぞかへされぬ恋はうらなき物にぞ有ける〈藤原頼宗〉」(出典:後拾遺和歌集(1086)恋四・八二六)
  4. 遊里で初めてあげた遊女を二度目によぶことをしない。裏を返さない。
    1. [初出の実例]「うらなく思ひさっぱりと寄りつかず」(出典:雑俳・柳多留‐八九(1826))

心無しの派生語

うらな‐さ
  1. 〘 名詞 〙

こころ‐な・し【心無】

  1. 〘 形容詞ク活用 〙こころない(心無)

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