心無(読み)こころなし

精選版 日本国語大辞典 「心無」の意味・読み・例文・類語

こころ‐なし【心無】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 思慮分別がないこと。また、その人。
    1. [初出の実例]「例の、心なしの、かかるわざをして」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  3. 風雅心、風流心のないこと。また、その人。無風流者。
    1. [初出の実例]「心なしとはそれ候よ、冴えた月夜に黒小袖」(出典:歌謡・隆達節歌謡(1593‐1611))

心無の語誌

形容詞「こころなし」の終止形名詞化したもの。形容詞の用例はすでに上代に見えるが、名詞としての確例が見られるのは中古に入ってから。


こころ‐な【心無】

  1. ( 形容詞「こころない」の語幹 ) 無情なさま。無風流なさま。感動表現に用いる。
    1. [初出の実例]「ある人のあな情無(こころな)と思ふらむ秋の長夜をねさめ臥すのみ」(出典万葉集(8C後)一〇・二三〇二)

こころ‐ない【心無】

  1. 〘 連体詞 〙 ( 形容詞「こころない」の連体形から ) あたたかい心がない。理解がない。
    1. [初出の実例]「あまりに心ないわざのやうに彼には思へた」(出典:都会の憂鬱(1923)〈佐藤春夫〉)

しん‐なし【心無】

  1. 〘 名詞 〙 中にしんを入れてないもの。内部がからになっているもの。
    1. [初出の実例]「夕風にくんなりと成柳原〈西鶴〉 霞のうすきしんなしの筆〈正甫〉」(出典:俳諧・物種集(1678))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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