家庭医学館 「心臓弁膜症と歯科治療」の解説
しんぞうべんまくしょうとしかちりょう【心臓弁膜症と歯科治療】
心内膜炎は、起因菌が血液中に入り込み体内を循環するうちに心内膜にとりついておこると考えられています。多くの細菌のなかでも緑連菌(りょくれんきん)という細菌が心内膜にとりつきやすいとされていますが、この菌は口腔内(こうくうない)に常に存在するところから、抜歯(ばっし)などの歯科での外科的治療に引き続いて発症するおそれがあります。
したがって心臓弁膜症、とくに僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)(「僧帽弁閉鎖不全症」)、大動脈弁閉鎖不全症(だいどうみゃくべんへいさふぜんしょう)(「大動脈弁閉鎖不全症」)や人工弁置換術(じんこうべんちかんじゅつ)を受けている患者さん(ほかに心室中隔欠損症(しんしつちゅうかくけっそんしょう)、動脈管開存症(どうみゃくかんかいぞんしょう)など)は、歯科での処置に先だって、自分が心臓弁膜症であることを歯科医に必ず告げるようにしてください。
また、ワルファリンカリウム(ワーファリン)による抗凝固療法を受けていることも抜歯後の止血に影響します。
これらのことを考慮しますと、歯科治療を受ける際には、循環器科主治医の紹介状を用意することが望ましいといえます。