日本大百科全書(ニッポニカ) 「心誌」の意味・わかりやすい解説
心誌
しんし
psychograph
個人の心理的あるいは身体的特徴を一目で理解できるように、図示する形で表したもので、その個人の特徴を表すものであり、さまざまな診断に利用される。アメリカの心理学者G・W・オールポートによって初めてなされ、次のようなものであった。心理生物的基礎として、身体状況(健康、容姿など)、知能、気質(主として感情傾向)を調べる。次に共通特性として、表出と態度が取り上げられ、表出とは支配的か否か、自己拡張的であるか否か、などを調べる。態度としては外向―内向、対自己として批判的か否か、自負的か否か、など。また対他者として共存的か否か、利他的か否か、など。さらに対価値として、経済志向か否か、政治志向か否か、宗教志向か否か、などについて調べる。最近は各項目の内容が膨大となり、心誌として一つにまとめることが困難になった。
[春木 豊]