朝日日本歴史人物事典 「志摩利右衛門」の解説
志摩利右衛門
生年:文化6.5(1809)
幕末明治期の阿波藍商。阿波国(徳島県)名西郡東覚円村の志摩家は,4代万五郎が阿波藍の製造,販売をはじめ,伊勢,尾張に売場を開き,5代勘五郎が同村組頭庄屋となる。利右衛門はその子であり,幼名を萬蔵,後年豊園と号した。文政年間(1818~30)以降活発な事業展開を行い,信州松本,出羽米沢に支店を設け秋田にも進出した。また京都にも進出し阿波煙草の販売を行う。さらに砂糖,塩,漆器などの販路拡張にも尽力した。理財に富み,天保12(1841)年徳島藩に藩財政の再建策を上申し,調達勘定役に登用され財政改革を遂行した。他方尊王の志があり京都で頼山陽と親交を結び,小室信夫,中島錫胤等の勤王の志士にもよく援助をしたといわれている。<参考文献>井上一『志摩利右衛門』,岡本由喜三郎『実業功績 先人小伝』
(天野雅敏)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報