思ほゆ(読み)オモホユ

デジタル大辞泉 「思ほゆ」の意味・読み・例文・類語

おもほ・ゆ【思ほゆ】

[動ヤ下二]《動詞「おもふ」の未然形自発助動詞」の付いた「おもはゆ」の音変化》思うまいとしても、自然に思われる。
うりはめば子ども―・ゆ」〈・八〇二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「思ほゆ」の意味・読み・例文・類語

おもほ・ゆ【思】

  1. 〘 自動詞 ヤ行下二段活用 〙 ( 動詞「おもう(思)」に上代の自発・受身の助動詞「ゆ」の付いてできた語 ) 思われる。思うの内容としては、感じる、考える、偲(しの)ぶ、慕う、願う、希望する、予測する、記憶するなどの意味が含まれる。遠く離れた物や事態を思うことが多い。
    1. [初出の実例]「飛鳥川 みなぎらひつつ 行く水の 間(あひだ)もなくも 於母保喩屡(オモホユル)かも」(出典日本書紀(720)斉明四年五月・歌謡)
    2. 「瓜(うり)(は)めば 子ども意母保由(オモホユ)」(出典:万葉集(8C後)五・八〇二)
    3. 「昼夜心を至して口に誦して輟めず、略ぼ記(オモホユ)」(出典:石山寺本金剛般若経集験記平安初期点(850頃))

思ほゆの語誌

( 1 )上代は「おもほゆ」であったが、中古には「おぼゆ」の形でも用いられるようになる。ただし、中古初期には「おもほゆ」の使用例が主に和歌に認められるところから、「おぼゆ」に対して歌語「おもほゆ」という分化があったともみられる。しかし、「源氏物語」では、「おもほゆ」は和歌よりも地の文の方に多く用いられているので、この語を歌語と断定するわけにもいかない。
( 2 )中古後期には「おもほゆ」はまれにしか用いられなくなり、次第に古語として意識されるようになったものと思われる。中世以降は私家集に散見されるが、雅語として用いられたものであろう。


おぼほ・ゆ【思】

  1. 〘 自動詞 ヤ行下二段活用 〙 ( 「おもほゆ」の変化したものか ) 思われる。おぼゆ。
    1. [初出の実例]「人の御さまのなべてならぬ心ちし侍りつるに、おぼほえず、いとど心も物おぼえずおどろかれてこそ」(出典:浜松中納言物語(11C中)二)

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