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 ユ

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デジタル大辞泉の解説

ゆ[五十音]

五十音図ヤ行の第3音。硬口蓋と前舌との間を狭めて発する半母音[j]と母音[u]とから成る音節。[ju]
平仮名「ゆ」は「由」の草体から。片仮名「ユ」は「由」の末2画の変形によるもの。
[補説]「ゆ」は、また、「きゅ」「しゅ」「ちゅ」などの拗音の音節を表すのに、「き」「し」「ち」などの仮名とともに用いられる。現代仮名遣いでは拗音の「ゆ」は、なるべく小書きにすることになっている。

ゆ[助動]

[助動][え|え|ゆ|ゆる|ゆれ|○]《上代語》四段・ナ変・ラ変動詞の未然形に付く。
受け身の意を表す。…れる。
「手束杖腰にたがねてか行けば人に厭(いと)はかく行けば人に憎ま」〈・八〇四〉
可能の意を表す。…ことができる。
「日な曇り碓氷(うすひ)の坂を越えしだに妹(いも)が恋ひしく忘らぬかも」〈・四四〇七〉
自発の意を表す。自然に…となる。→らゆ
「大君の継ぎて見(め)すらし高円(たかまと)の野辺見るごとに音(ね)のみし泣か」〈・四五一〇〉
[補説]「る」に先行する助動詞。2の意味で用いられるときは、打消しの語を伴い、不可能の意を表すことが多い。平安時代以降は「る」が使われたが、「聞かゆ」「思はゆ」などは音変化して一語化し、「聞こゆ」「おもほゆ」(さらに転じて「おぼゆ」)の形で用いられた。平安時代以降では、連体詞「あらゆる」「いわゆる」などに連体形「ゆる」の形をとどめている。

ゆ[格助]

[格助]《上代語》名詞に付く。
動作・作用の起点を表す。…から。
「朝に日(け)に見まく欲りするその玉をいかにせばかも手―離(か)れずあらむ」〈・四〇三〉
動作の移動・経由する場所を表す。…を通って。
「川沿ひの岡辺(をかへ)の道―昨日こそ我が越え来(こ)しか」〈・一七五一〉
比較の基準を表す。…に比べて。…より。
「衣手葦毛(あしげ)の馬のいなく声心あれかも常―異(け)に鳴く」〈・三三二八〉
動作の手段・方法を表す。…によって。…で。→ゆりより
「小筑波(をづくは)の繁き木(こ)の間よ立つ鳥の目―か汝(な)を見むさ寝ざらなくに」〈・三三九六〉

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大辞林 第三版の解説

五十音図ヤ行第三段の仮名。硬口蓋と前舌との間を狭めて発する半母音と後舌の狭母音とから成る音節。
平仮名「ゆ」は「由」の草体。片仮名「ユ」は「由」の末二画の変形。

( 助動 ) ( え ・え ・ゆ ・ゆる ・ゆれ ・○ )
上代の自発・受け身・可能の助動詞。四段・ラ変の動詞の未然形に付く。
ある動作が自然に、また無意識的に実現してしまう意、すなわち自発の意を表す。 「慰むる心はなしに雲隠り鳴き行く鳥の音のみし泣か/万葉集 898」 「はろはろに思ほゆるかも白雲しらくもの千重ちえに隔てる筑紫つくしの国は/万葉集 866
他から何らかの動作・作用の影響を受ける意、すなわち受け身の意を表す。 「白珠しらたまは人に知らず知らずともよし知らずとも我し知れらば知らずともよし/万葉集 1018」 「沫雪あわゆきに降らて咲ける梅の花君がり遣らばよそへてむかも/万葉集 1641
ある動作をすることができる意、すなわち可能の意を表す。実際には、打ち消しの語を伴って不可能の意を表す例のみが見られる。 「日な曇り碓氷うすいの坂を越えしだに妹が恋ひしく忘らぬかも/万葉集 4407」 〔 (1) 「らゆ」とともに、中古以降の「る」「らる」に対応する。もっとも、上代でも「る」の例は少しは見られる。 (2) 命令形の例は見られない。 (3) 中古以降は一般に用いられなくなるが、その残存形は、「いはゆる」「あらゆる」などの連体詞として、後世まで用いられる。また、「聞こゆ(「聞かゆ」の転)」、「思ほゆ(「思はゆ」の転)」、さらに「おぼゆ」などの動詞の語尾として残存するものもある〕 → らゆる(助動)

( 格助 )
〔上代語〕
動作・作用の時間的・空間的起点を示す。から。 「はしきよし我家の方-雲居立ち来も/日本書紀 景行」 「天地の別れし時-いなむしろ川に向き立ち/万葉集 1520
動作の行われる場所・経由地を示す。 「天離あまざかる鄙ひなの長道ながち-恋ひ来れば明石の門より大和島見ゆ/万葉集 255」 「真野の浦の淀の継ぎ橋心-も思へや妹が夢いめにし見ゆる/万葉集 490
動作の手段を示す。で。 「赤駒を山野にはかし捕りかにて多摩の横山徒歩かし-か遣らむ/万葉集 4417
比較の基準を示す。より。 「人言はしましそ我妹綱手引く海-まさりて深くしそ思ふ/万葉集 2438」 〔上代には、この語とほとんど同じ用法をもつ格助詞に「ゆり」もある。語源については、「ゆり」の補説 (1) 参照〕 → ゆりより(格助)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


五十音図第8行第3段の仮名で、平仮名の「ゆ」は「由」の草体から、片仮名の「ユ」は「由」の終画からできたものである。万葉仮名では「由、遊、喩、愈、瑜、踰、臾(以上音仮名)、湯(訓仮名)」などが使われた。ほかに草仮名としては「(由)」「(遊)」「(游)」などがある。
 音韻的には/ju/で、舌面と歯茎硬口蓋こうがいとを狭めて発する摩擦音[j]を子音にもつ(母音の[i]と非常に近い音なので半母音ともいう)。[上野和昭]

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