( 1 )万葉集の恋の歌では、[ 一 ]の例のように「明日」にかける例も見えるが、流れの早いこと、また水かさの多いことで恋の妨げになるものとして歌われることが多い。
( 2 )平安時代になると、変はる、変はらぬ、といった語を導くようになる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
奈良県北西部の川。もと明日香(あすか)川とも記した。高市郡明日香村南東部の山地に源を発し,畝傍(うねび)山と天香久(あまのかぐ)山の間を流れ,明日香村,橿原(かしはら)市,田原本(たわらもと)町を貫流して,川西町で大和川に流入する。その間約22.3km。上流は急こう配のため多くの滝や淵をつくるが,冬野川を合わせる明日香村祝戸付近から流れは緩やかとなり,東岸には石舞台古墳,板蓋宮(いたぶきのみや)跡,飛鳥寺跡などの遺跡がみられる。雷(いかずち)丘と甘樫(あまかし)丘の間をぬけると天井川の様相を呈し,堆積土砂への浸透のため流水は乏しくなり,渇水時にはまったく流水をみないことさえあり,古歌にも〈世の中は何か常なる飛鳥川昨日の淵ぞ今日の瀬となる〉と詠まれた。飛鳥川に灌漑用水を依存する地域は古くから干害に苦しみ,厳しい水利規制が行われ,下流部では河床に井戸を設けて取水することさえ行われた。しかし,吉野川分水の実現により(1960-62年ごろより配水),水利事情は大きく緩和された。
執筆者:橋本 征治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
奈良県中部を流れる川。竜門(りゅうもん)山地の高取山(584メートル)に源を発し、北流して橿原(かしはら)市で畝傍山(うねびやま)と天香具山(あめのかぐやま)の間を流れ、奈良盆地のほぼ中央、生駒(いこま)郡安堵(あんど)町で大和(やまと)川に合流する。延長28キロメートル。古代にはほぼ明日香村祝戸(いわいど)付近から橿原市飛騨(ひだ)町付近までを飛鳥川と称していたといわれる。上流域は古代の文化地域で宮跡や古社寺が多く、『万葉集』『古今集』などに数多く詠まれている。現在、川幅は狭く平凡な中小河川であるが、古くから灌漑(かんがい)用水として利用されており、上流はいまなお清澄で風情に富む。「世の中はなにか常なるあすか川昨日の淵(ふち)ぞ今日は瀬になる」(『古今集』読人(よみびと)しらず)などは有名である。
[菊地一郎]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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