ライ症候群(読み)らいしょうこうぐん(英語表記)Reye syndrome

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ライ症候群」の意味・わかりやすい解説

ライ症候群
らいしょうこうぐん
Reye syndrome

ウイルス感染症、とくにインフルエンザ水痘(すいとう)などにかかったあと、脳圧亢進(こうしん)と肝障害のために突然の嘔吐(おうと)、意識障害、けいれんなどをおこして生命が危険になる急性脳症の一型をいう。オーストラリアのシドニーにある小児病院の病理学者ライR. D. K. Reyeらが1963年に初めて報告した疾患で、原因は、インフルエンザや水痘等のウイルスのほか、薬物サリチル酸等)が一因子として関係する可能性があるとされている。

 発病は1~8歳の小児に多く、一般に病状の進行がきわめて急激なため、軽い上気道感染数日後、激しい嘔吐や意識障害、あるいはけいれんがおこる。肝機能障害が著明で血中アンモニアの増加、凝固異常、脳浮腫が生じる。早期発見、早期受診がたいせつで、ライ症候群の場合は救命処置の受けられる病院で治療を受けることが望まれる。

[山口規容子]

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