性同一性障害の治療として、男女の内外性器の形態を外科的に変更する手術。性別適合手術は、日本精神神経学会およびGID(性同一性障害)学会によって正式に認定されている呼称で、略称SRS。性別再指定手術あるいは性別再割当手術ともいい、一般には性転換手術ともよばれる。男性から女性へ変更する手術(MtF:Male to Female)と、女性から男性へ変更する手術(FtM:Female to Male)がある。タイなど海外では広く行われ、日本でも大学病院の形成外科や美容形成外科で実施されている。
性同一性障害は、雄か雌かの区別としての生物学的性(sex)と、自分が男か女かを意識する性意識(ジェンダー・アイデンティティgender identity)が一致しないために生じる。性意識は性別意識あるいは性自認ともいう。「日本性同一性障害と共に生きる人々の会」が行ったアンケート調査によると、海外も含め性別適合手術を受けた人で回答を寄せた100人強のうち、約70%が手術の結果に満足と回答し、術後に後遺症が発生した人や再手術を受けた人は15%いたという。
日本では、2003年(平成15)に「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」(性同一性障害特例法)が成立した。これにより、定められた要件を満たしている場合、家庭裁判所の審判を受けて戸籍上の性別記載を変更できることになった。要件の一つには「その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること」があるため、戸籍上の性別記載変更には性別適合手術を受ける必要がある。
なお、性別適合手術は2018年(平成30)4月から保険適用となった。しかし、ホルモン療法については自費となっているため、ホルモン療法の後に性別適合手術を行う場合は、すべて自費での治療となる。
[編集部 2021年6月21日]
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