日本大百科全書(ニッポニカ) 「恩納なべ」の意味・わかりやすい解説
恩納なべ
おんななべ
生没年不詳。琉歌(りゅうか)の歌人。18世紀前半、琉球王朝尚敬(しょうけい)王時代(1713~51)の人と伝えられる。沖縄本島の中央部恩納岳の麓(ふもと)に生まれ、万葉風の琉歌を詠んで有名な歌人である。「恩納岳あがた里(さとう)が生(う)まれ島(じま)/もりもおしのけてこがたなさな」にみられるように、壮大な景観や熱烈な恋情を歌に託す手法は非凡で、作風の際だった特徴である。国王の巡行を迎えて詠んだ歌の歌碑が恩納村の万座毛(まんざもう)に建てられている。島袋盛敏・翁長俊郎著『標音評釈琉歌全集』(1968)によれば、恩納なべの歌とされるものを18首数えることができる。
[外間守善]
『『琉球の女歌人「恩納なべ」』(『伊波普猷全集9』所収・1975・平凡社)』