意味の社会学(読み)いみのしゃかいがく

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「意味の社会学」の意味・わかりやすい解説

意味の社会学
いみのしゃかいがく

意味 (英語で meaning; sense,ドイツ語で Sinn; Bedeutung,フランス語で sens; signification) は,現代社会学の最も基礎的な概念の一つである。 (1) M.ウェーバーは,行為を定義するのに意味の概念を利用した。すなわち,ウェーバーによれば,行為とは,行為者の主観的な意味が含まれているような人間行動のことである。ウェーバーの議論は,意味概念を中核に置く社会学の源流ともいうべきものであるが,ウェーバー自身は,意味概念を厳密に定義してはいない。 (2) ウェーバーの議論を継承し,意味を定義しようと試みたのは,A.シュッツで,ある過ぎ去った体験を,他の体験から区別する反省によって,その体験の意味が構成されると論じた。シュッツは,とりわけ意味が「類型」による総合を通じてもたらされることに注目している。シュッツの立場は,エスノメソドロジーなどに明確な影響を残している。 (3) G.H.ミードらの象徴的相互作用論は,意味を媒介にした相互作用として社会的行為をとらえる立場を確立した。 E.ゴフマンのドラマツルギー的方法にも,これと類似視角を認めることができる。 (4) N.ルーマンは,独自な社会システム論の中で,意味を「体験加工の形式」として定義している。ルーマンの定義が言わんとするところは,ある可能性が選択されたとき,選択されなかった他の可能性を無化することなく,接近可能な状態で維持しておくような働きを,意味が持っている,ということである。

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