パトナム(英語表記)Putnam, Israel

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パトナム」の意味・わかりやすい解説

パトナム
Putnam, Hilary

[生]1926.7.31. イリノイシカゴ
[没]2016.3.13. マサチューセッツ,アーリントン
アメリカ合衆国の哲学者。翻訳家の父のもとに生まれ,子供時代をフランスで過ごした。ペンシルバニア大学で哲学と数学を専攻し 1948年に卒業,ハーバード大学大学院を経て,1951年カリフォルニア大学ロサンゼルス校で博士号を取得。ノースウェスタン大学,プリンストン大学,マサチューセッツ工科大学教鞭をとり,1965年からはハーバード大学で哲学を講じた。形而上学認識論,心の哲学,言語哲学科学哲学数理哲学,論理哲学に貢献した。特に,言語的意味は外的な現実情報を含むという外在主義の意味論,反還元主義の心の哲学,真理知識は客観的であるとする実在論で知られた。後期においては認識論と形而上学の道義的側面に目を向け哲学の道徳性を重んじた。経験により立証できる言明のみが意味を有するという論理実証主義に対し,理論に基づいた科学者の予測が的中する場合を例にあげ反論した。論文『「意味」の意味』The Meaning of 'Meaning'(1975)において,話者自身が専門知識をもたない実在のものをさすことばを用いることは,その知識をもつ専門家たちの知恵に立脚していると指摘した。

パトナム
Putnam, Israel

[生]1718.1.7. マサチューセッツ,ダンバース
[没]1790.5.19. コネティカット,ブルックリン
アメリカ独立革命期の軍人フレンチ・アンド・インディアン戦争,ポンティアク戦争に参加したのち,印紙税法反対の運動のなかで「自由の息子たち」の組織づくりに貢献。コネティカットの組織の指導者となり,反英運動を推進。 1775年6月大陸会議から少将に任命され,バンカーヒル戦い,ロングアイランドの戦いで G.ワシントンのもとで指揮をとった。 78~79年コネティカット部隊の指揮官をつとめたが,79年引退。

パトナム
Putnam, Rufus

[生]1738.4.9. マサチューセッツ,サットン
[没]1824.5.4. オハイオ,マリエッタ
アメリカの軍人,オハイオ開拓者。 I.パトナム従弟フレンチ・アンド・インディアン戦争に参加。アメリカ独立戦争のときサラトガの戦いなど北部戦線で活躍。 1783年准将。独立後オハイオ会社設立に協力。オハイオ新開地で准州判事をつとめた。 96~1803年連邦公有地監督官。

パトナム
Puttenham, George

[生]1530頃
[没]1590. ロンドン
イギリスの宮廷人。 1589年に匿名で出版された『英詩の技法』 The Arte of English Poesieは,当時の最も長い,体系的な英詩論であるが,著者はパトナムとだけわかっていて,ジョージなのか,兄リチャード (1520頃~1601頃) なのかは不明。

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