自分以外のなにものかが自分にのりうつっているという妄想で,〈つきもの妄想〉とも呼ばれ,心因反応,心因性精神病,統合失調症などに見られる。つくものは地域や時代によって異なり,中世からルネサンスにかけてのヨーロッパでは,悪魔や狼など,嫌悪と恐怖の対象に限られていたのに対し,日本では神仏,生霊(いきりよう),死霊から,狐,狸,犬,蛇,蛙などの動物,月や太陽にいたるまで多種多様である。また,のりうつったものは,のりうつられた人格に対して加害者の役割を演ずるのが西欧的原則で,それゆえ憑依妄想は被害妄想の一種に数えられるが,日本ではしばしば守護者の性格をもち,ときには治療的役割さえ果たす。憑依妄想のこうした日本的特性は日本人の特異な憑依親和性にもとづくと思われるが,この点は,憑依妄想が文明の高度に発達した現代の日本でなお減少していないという事実にもよく示されている。
→憑物(つきもの)
執筆者:宮本 忠雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
春になって暖かくなりかけた頃、急に寒さが戻って、地面などがまた凍りつく。《 季語・春 》[初出の実例]「七瀬御秡 同晦日也。〈略〉雪汁いてかへる」(出典:俳諧・誹諧初学抄(1641)初春)...