手斧始(読み)ちょうなはじめ

精選版 日本国語大辞典 「手斧始」の意味・読み・例文・類語

ちょうな‐はじめてうな‥【手斧始】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 大工が新たな建築にとりかかったはじめの日に行なう儀式。おのはじめ。ちょうながけ。
    1. [初出の実例]「早旦参一条殿、有小堂手斧始、午時也」(出典:中右記‐承徳元年(1097)一二月二日)
  3. 大工が新年に行なう仕事始めの儀式。ちょうのはじめ。《 季語・新年 》
    1. [初出の実例]「鍛冶に鞴祭り、糀屋に室祭り、紺屋に愛染祭り、大工の手斧始など春の始めにいとなみ侍り」(出典:諸国風俗問状答(19C前)越後国長岡領風俗問状答)
  4. 和船の数ある建造儀礼のうちの最初のもの。今日の起工式にあたる。吉日を選び、洗米・肴・酒を供え、棟梁が曲尺をあてて手斧を打った後、拍手・祈念して秘歌・祭文を唱えて終わるが、船大工流派や船の大小・種類により、必ずしも一様ではない。

ちょうの‐はじめてうの‥【手斧始】

  1. 〘 名詞 〙ちょうなはじめ(手斧始)
    1. [初出の実例]「けんさう御大くてうのはしめ申」(出典:御湯殿上日記‐文明一八年(1486)正月五日)

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歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典 「手斧始」の解説

手斧始
(通称)
ておのはじめ

歌舞伎浄瑠璃外題
元の外題
手斧始金礎
初演
享保8.11(京・瀬川座)

出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の手斧始の言及

【四天王寺】より

…寺外は繁華街として変貌したが,寺域,伽藍配置はほとんど変動せず,同じ位置に再建され,造営時の配置を知るうえで貴重な存在である。法会,行事は,正月の修正会(どやどや),太子を祖とする大工の祭りである手斧始(ちようなはじめ),4月22日太子忌日に六時堂前の石舞台で舞楽を奏する聖霊会(しようりようえ),6月30日愛染まつり,8月9日千日詣など,大阪市民の年中行事として親しまれている。とくに春秋の彼岸と8月の盂蘭盆(うらぼん)には近畿一円からの参詣者が境内を埋めつくし,経木をもち,亀の井で水を手向けて供養し,諸堂の読経と線香の煙と引導鐘の音が絶えることなく終日にぎわう。…

※「手斧始」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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