批判理論(読み)ひはんりろん(英語表記)kritische Theorie

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

批判理論
ひはんりろん
kritische Theorie

フランクフルト学派の社会科学方法論上の立場を総称していう。呼称は M.ホルクハイマーの論文『伝統的理論と批判理論』 (1937) に由来する。社会や人間的事象を自然科学的に把握しようとする実証主義に対して,現実の社会的過程のコンテクストのなかで理性の自己反省という方法をたよりに理論と実践の統合を弁証法的に達成しようとする方法。思想史的には,ヘーゲル流に解釈され直したマルクスフロイトの精神分析学を統合し,ウェーバーの提起した合理化のもたらす負の側面という対象に対してニーチェ的精神で探究しようとする社会・文化批判的な理論と位置づけられる。

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大辞林 第三版の解説

ひはんりろん【批判理論】

フランクフルト学派が標榜する立場。道具的理性に支配され、社会の再生産に奉仕するのみの伝統的理論に対し、理論が社会的経済的過程に属することを自己認識しつつ、理性を批判的に実現しようとする。 → 道具的理性

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精選版 日本国語大辞典の解説

ひはん‐りろん【批判理論】

〘名〙 (kritische Theorie の訳語) ドイツの哲学者ホルクハイマーが唱えた現代社会と人間理性に関する考え方。普遍的な理性による伝統的哲学を前提とした啓蒙主義の時代は終わったとし、かといって事実を追認するだけの科学主義、実証主義では現実社会の矛盾をとらえられないとするもので、理論が実際の社会的経済的過程に属していることを自覚しつつ、批判的に理性を実現しようとするもの。一九六〇年代西欧の社会批判に大きな影響を与え、フランクフルト学派の名とともにブームを引き起こした。

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世界大百科事典内の批判理論の言及

【フランクフルト学派】より

…M.ホルクハイマー,T.W.アドルノ,W.ベンヤミン,H.マルクーゼ,のちに袂(たもと)を分かったE.フロム,ノイマンFranz Leopold Neumann(1900‐54)たちと,戦後再建された同研究所から輩出したJ.ハーバーマス,シュミットAlfred Schmidt(1931‐ )らの若い世代が含まれる。彼らはいわゆる〈西欧的マルクス主義〉の影響の下に,正統派の教条主義に反対しつつ,批判的左翼の立場に立って,マルクスをS.フロイトやアメリカ社会学等と結合させ,現代の経験に即した独自の〈批判理論〉を展開した。彼らはユダヤ系左翼のゆえをもってナチス時代にはアメリカに亡命を余儀なくされたが,その間,機関誌《社会研究》によって理論的抵抗を続け,共同研究《権威と家族》(1936)をはじめ,ホルクハイマー,アドルノの共著《啓蒙の弁証法》(1947),ノイマンの《ビヒモス》(1942),マルクーゼの《理性と革命》(1941),フロムの《自由からの逃走》(1941)等,戦後に有名となった多くの業績を発表している。…

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