挂冠(読み)ケイカン

デジタル大辞泉 「挂冠」の意味・読み・例文・類語

けい‐かん〔‐クワン〕【×挂冠/掛冠】

[名](スル)《「挂」は掛けるの意》官職を辞めること。辞職すること。致仕ちしかいかん
[補説]後漢逢萌ほうぼう王莽おうもうに仕えることを潔しとせず、冠を解いて東都城門に掛け、遼東りょうとうに去ったという「後漢書逸民伝の故事から。

かい‐かん〔クワイクワン〕【×挂冠】

けいかん(挂冠)

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精選版 日本国語大辞典 「挂冠」の意味・読み・例文・類語

けい‐かん‥クヮン【挂冠・掛冠】

  1. 〘 名詞 〙 ( 冠(かんむり)を脱いで柱などにかける意。中国、後漢の逢萌が王莽(おうもう)に仕えることを潔しとしないで、その役職の冠を都の城門に掛けて遼東に去ったという「後漢書‐逸民伝・逢萌」の故事から ) 官職をやめること。辞職すること。
    1. [初出の実例]「二十年に挂冠したる土州政治家は」(出典:薩長土肥(1889)〈小林雄七郎〉四藩政党)

かい‐かんクヮイクヮン【挂冠】

  1. 〘 名詞 〙けいかん(挂冠)

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普及版 字通 「挂冠」の読み・字形・画数・意味

【挂冠】けいかん(くわん)

官を去る。〔後漢書、逸民、萌伝〕時に王其の子宇をす。友人に謂ひて曰く、三綱えたり。去らずんば、將(まさ)に人にばんとすと。ち冠を解きて東門に挂けて歸る。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「挂冠」の意味・わかりやすい解説

挂冠
けいかん

冠を脱いで柱などに掛けること。転じて、官職にある者がその職を辞することをいう。「挂」は掛けることで、「かいかん」ともいい、「掛冠」とも書く。中国、後漢(ごかん)の逢萌(ほうぼう)が、巧妙な術策によって政権を掌握し、ついには天子の位についた王莽(おうもう)に仕えることを、わが子を殺されたこともあって潔しとせず、その役職を表す冠を都洛陽(らくよう)の城門に掛けて遼東(りょうとう)に去ったという『後漢書(ごかんじょ)』「逸民伝・逢萌」の故事にちなむ。

[田所義行]

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