指定管理鳥獣捕獲等事業(読み)していかんりちょうじゅうほかくとうじぎょう

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

深刻な農作物被害や生態系の乱れの原因となっている有害鳥獣を国が指定し、適正数まで捕獲・減少させる事業。2014年(平成26)に改正された「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」に基づいて政府が創設し、改正法が施行される2015年5月29日からスタート。同事業を実施するため、環境大臣は2015年2月に、狩猟によって頭数減少や生息域の縮小を促す「指定管理鳥獣」としてニホンジカとイノシシの2種を指定した。捕獲事業の実施主体となる都道府県に対し、捕獲目標数などを盛り込んだ事業計画の策定費(総額2億円)や捕獲経費(総額18億円)を2分の1以内で補助する。都道府県は、従来必要であった捕獲許可を不要とし、鳥獣の捕獲を専門的に行うNPO法人や警備会社などを「鳥獣捕獲等事業者」として認定。これまでの猟友会頼みでなく、組織的・専門的な民間捕獲事業者に指定管理鳥獣の捕獲をゆだねることで、効率的・計画的な捕獲を目ざす。鳥獣捕獲等事業者は森林での夜間狩猟を一部解禁され、許可があれば住宅地でも麻酔銃による捕獲ができる。環境省と農林水産省は2013年度、ニホンジカ(2011年度時点で推計261万頭)とイノシシ(同88万頭、北海道を除く)を2023年度までに半減させるとの目標を掲げた。政府は指定管理鳥獣捕獲等事業の実施で、捕獲を強力に進めてこの目標の実現を目ざす。

 日本では1970~2010年の40年間で狩猟免許の所持者数が6割減少したうえ、ハンターの高齢化も進み、シカやイノシシなどの野生動物の増加に捕獲が追いつかない状況が続いている。2012年度までの10年間で野生動物による農作物被害は毎年200億円前後にのぼり、年間9000ヘクタールの森林が被害を受け、全国30か所の国立公園のうち20か所で生態系への影響が確認され、市街地での交通・鉄道事故も後を絶たない。このため指定管理鳥獣捕獲等事業が創設された。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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