フランス語で食材となる野生鳥獣の肉(Gibier)を意味する。欧州では貴族の伝統料理として古くから発展してきた。日本では野生鳥獣による農作物への被害が大きく、近年では、特にシカの捕獲頭数が増加傾向にある。これまで捕獲後に廃棄していた鳥獣をジビエとして利用を拡大することで、農作物への被害低減のほか、外食や小売り、観光といった分野で地域の所得向上が期待されている。
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狩猟によって捕獲された野生鳥獣やその食肉。狩猟肉ともいう。ジビエを材料とするジビエ料理は、古くから狩猟の盛んだったヨーロッパでは浸透しており、狩猟が解禁となる秋から冬の季節には一般の市場にも出回る。ヨーロッパでは野禽(やきん)のキジ、ヤマウズラ、マガモをはじめ、野生獣の野ウサギ、シカ、イノシシなどの肉をさまざまな調理法で食している。
日本にも東北地方の山間部に居住した狩人(かりゅうど)の「またぎ」をはじめ、狩猟肉の食文化が古くからあり、シカやイノシシ、クマ、カモシカ、タヌキ、ウサギ、キジ、シギなどの肉が食べられていた。近年は狩猟肉を食べる慣習は薄れていたが、農作物被害や生活環境の保護の観点から、おもにシカとイノシシを捕獲するケースが増え、これに応じて狩猟肉を食べる場所や機会が増えた。2010年(平成22)の狩猟による捕獲数は、イノシシ約23万頭、シカ約17万頭で、年々増加している。とくに長野県や近畿地方の一部では、高タンパクで低脂肪であるシカ肉やイノシシ肉のよさを生かし、地域振興につなげようとする動きが活発である。2013年には関東地方で店舗展開するハンバーガーチェーンが、長野県産のシカ肉バーガーを発売して話題となった。
厚生労働省では野生鳥獣の肉を食用する際には、人獣共通感染症を防止するために生食を避け、十分加熱処理をするように呼びかけている。兵庫県森林動物研究センターが2007年に全国16地域で捕獲されたニホンジカ(976頭)について行った調査では、E型肝炎ウイルス抗体の保有率は2.6%であった。また、2006年の別の調査では、イノシシの抗体保有率は27.5%と高かった。シカ肉による感染の可能性は低いものの、食肉の加工処理過程でウイルスが付着する可能性もある。また、E型肝炎ばかりでなく、腸管出血性大腸菌感染症(O157)、寄生虫ウェステルマン肺吸虫に対する注意も必要であり、食べるときは十分な加熱処理が求められる。
[編集部]
(原田英美 ライター / 2013年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
イラン北西部のウルミエ湖の南100kmにあるテルで,1947年偶然に村民が青銅製棺のなかから大量の金銀製品,象牙細工の一括遺物を発見し,〈ジビエ遺宝〉として著名になった。発見の直後,フランス人A.ゴダールが大部分を回収してテヘラン博物館に収めたが,一部は世界各地の博物館や個人の収集品になった。60年からアメリカのR.ダイソンが調査して遺跡の性格を明らかにした。城砦で,柱礎は90kmばかり北のハッサンルの宮殿址のものに類似し,彩文土器はハッサンルⅢ層と同じという。遺宝には耳輪,首飾,胸飾,腕輪,腰帯などの金製装身具,スタンプ・円筒兼用金製印章,金象嵌銀製大皿,家具の一部である象牙細工,色ガラス象嵌の象牙小像,金箔木像,銀製馬面,馬車飾金具,剣装飾などがあって,形や文様はアッシリア,ウラルトゥの系統とスキタイの系統からなる,前7世紀の製品であることを示している。この両系統が統一されてアケメネス朝美術に継承された。
執筆者:小野山 節
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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