振出す（読み）フリダス

デジタル大辞泉

ふり‐だ・す【振（り）出す】

［動サ五（四）］
１ 振って、中に入っているものを外へ出す。「おみくじを―・す」
２ 振りはじめる。「指揮棒を―・す」
３ 手形・小切手などを発行する。「手形を―・す」

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

ふり‐だ・す【振出】

1. 〘 他動詞 サ行五（四） 〙
2. ① 容器を振って中から物を出す。ゆすって出す。
   1. [初出の実例]「葉柳にふり出されけり蝉の声〈春来〉」(出典：俳諧・俳諧新選（1773）二)
3. ② 市(いち)で手を振って合図をし、せりの値をつける。
   1. [初出の実例]「宿の亭主は売口銭一割のきほひにかかって、ふり出しける」(出典：浮世草子・世間胸算用（1692）五)
4. ③ 物を振りはじめる。
   1. [初出の実例]「早お立ちとお供廻りがふり出す毛鑓」(出典：浄瑠璃・心中宵庚申（1722）上)
5. ④ 振出薬を湯の中で振り動かして、成分を溶け出させる。
   1. [初出の実例]「守田の振出しを熱く振出したのを湯呑に入れて」(出典：あきらめ（1911）〈田村俊子〉一七)
6. ⑤ 湯水につけて振ってよごれをおとす。
   1. [初出の実例]「わたしが仕事単物が油染みたが、どうぞ振り出しておくんなさいな」(出典：歌舞伎・お染久松色読販（大南北全集所収）（1813）序幕)
7. ⑥ 振って、前方もしくは左、右などに出す。
   1. [初出の実例]「一旦右臂を曲げ其弾撥力を利用して前方に振り出し体重を左足に移し」(出典：歩兵操典（1928）附録)
8. ⑦ 物事をし始める。
   1. [初出の実例]「奏任官の筆頭にならうといふ勢で振出したら奏任官の端くれ位になれさうなものだ」(出典：社会百面相（1902）〈内田魯庵〉老俗吏)
9. ⑧ 為替または手形・小切手などを発行する。
   1. [初出の実例]「為替手形を振出すには、元帳に基金高人名居所及ひ為替の旨趣を詳細に記入して割印を押切」(出典：立会略則（1871）〈渋沢栄一〉廻状為替)
10. ⑨ 遊女などが客をつめたくあしらう。ふる。
    1. [初出の実例]「初会に其客の様躰を見ちがへ、睟(すい)だての男と思ひ、にくさにひょっとふり出して、どふも仕舞のつかざるを」(出典：浮世草子・傾城禁短気（1711）五)

出典　精選版 日本国語大辞典