振分(読み)ふりわけ

精選版 日本国語大辞典 「振分」の意味・読み・例文・類語

ふり‐わけ【振分】

〘名〙
① ふりわけること。二つに分けること。また、そのもの。
万葉(8C後)一一・二五四〇「振別(ふりわけ)の髪を短み青草を髪にたくらむ妹をしそ思ふ」
福翁自伝(1899)〈福沢諭吉〉品行家風「唯今日では男の子が四人、女の子が五人、宜い塩梅に振分(フリワ)けになってると思ふばかり」
② 二つに区切れるところ。中間のところ。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)三「此所は江戸へも六十里、京都へも六十里にて、ふりわけの所なれば、中の町といへるよし」
③ わけてくばること。分配すること。配分
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「十の皇子、四つばかりにて、御ぐしふりわけにて、白く美しげに肥えて」
⑤ 荷物を前後に分けて肩にかけること。また、その荷物。
※落語・鰍沢雪の酒宴(1889)〈四代目三遊亭円生〉「振分けを肩に掛け、裏手から跣足(はだし)で逃げ出しました」
⑥ 江戸時代の武士あるいは商家の少年の結髪の一つ。前髪左右に分けて、その髪の先を髻(もとどり)の後ろに出したもの。〔随筆守貞漫稿(1837‐53)〕
⑦ 江戸時代の女性の結髪の一つ。前髪の末を髻の左右から後ろに出すもの。いたずら

ふり‐わ・ける【振分】

〘他カ下一〙 ふりわ・く 〘他カ下二〙
① 二つに分ける。半分にする。両分する。
出雲風土記(733)意宇「童女の胸鉏(むなすき)取らして、大魚のきだ衝き別けて、はたすすき穂振別(ふりわけ)て」
人情本・英対暖語(1838)二「みどりの黒髪を左右へ振(フリ)わけて」
神霊を移す。分祀する。
高倉院厳島御幸記(1180)「賀茂御厨にこの泊のまかりなりし当時、ふり分(わ)けまゐらせて、御験あらたなり」
③ 分配する。分けて与える。配当する。割りあてる。それぞれに配る。
歌舞伎・廓曠着紅葉裲襠(子持高尾)(1873)序幕「残る方なくそれぞれに、振(フ)りわけて下さんして」
④ 前後に分けて担う。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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