塩梅(読み)あんばい

故事成語を知る辞典「塩梅」の解説

塩梅

ものごとの状態。ようす。

[使用例] それからしばらくはしだいにオクターブのあがってくる男の話をほとんど猿が坊主説教を聞くような梅で拝聴していなければならなかった[椎名誠*新橋烏森口青春篇|1987]

[由来] 文字通りには、塩と、酸味を出すために使う梅のこと。儒教経典、「書経えつめい・下」では、ある王が大に向かって、「こうを作らば、なんじえんばいなり(スープを作るのにたとえるなら、おまえは調味料にあたる)」と述べています。ここから、「塩梅」は、君主を助けて政治の状態を整える人を指すようになりました。日本では、順序を整えることを表す「あんばいあんばい」と一緒にされて、「塩梅/按排/案配」で、ものごとの状態やようすを広く指して使われています。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「塩梅」の解説

塩梅
えんばい

日本音楽の用語。 (1) 雅楽器篳篥 (ひちりき) の演奏に特的な技法。同一の指使いで,リードのくわえ方や吹きこむ息の強弱によって音高を変化させるもの。たとえば,ある音から跳躍進行して高い音に移る場合には,必ず最初の音の指使いのままで,塩梅によっていったん音を下げてから次の高い音に移る。また,跳躍進行による下行の場合はポルタメント的なゆるやかな音の変化をする。 (2) 能管 (のうかん) では,瞬間的な装飾技法を塩梅という。 (3) 声明 (しょうみょう) において,宮,商,角,徴,羽の5音以外の音を総称して塩梅音という。

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精選版 日本国語大辞典「塩梅」の解説

えん‐ばい【塩梅】

〘名〙
食物の調味に用いる塩と梅の塩味と酸味。〔二十巻本和名抄(934頃)〕
② (━する) 食物の味を調えること。また、食物の味加減。あんばい
吾妻鏡‐元暦元年(1184)六月五日「塩梅調鼎味
古今著聞集(1254)二「上人みづから塩梅を和して」 〔書経‐説命下〕
③ (━する) 臣下が君主を助けて政務をうまく処理していくこと。
懐風藻(751)春日侍宴〈藤原史〉「塩梅道尚故。文酒事猶新」
[補注]近世には「塩梅」は「あんばい」と読まれるようになった。

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デジタル大辞泉「塩梅」の解説

あん‐ばい【塩梅/×按排/×按配】

[名](スル)《味の基本である塩と梅酢の意の「えんばい」と、物をぐあいよく並べる意の「按排」とが混同した語》
料理の味加減。「―をまちがえて、食べられたものではない」
物事のぐあい・ようす。「いい―にメンバーがそろっている」
身体のぐあい・ようす。「―が悪いので仕事を休む」
(按排・按配)物事のぐあい・ようす・程合いを考えて、程よく並べととのえたり処理したりすること。「文化祭での出し物の順をうまく―する」
[補説]24は「案配」とも書く。
[類語](2)(3)(4調子加減コンディション本調子呼吸具合状態体調健康

えん‐ばい【塩梅】

調味料の塩と梅酢うめず
料理の味を調えること。味加減。あんばい。
「連日竹葉(=酒)宴酔を勧め、―鼎味ていみ調ととのふ」〈吾妻鏡・三〉
臣下が主君を助けて政治や仕事を程よく処理すること。
「地に降下あまくだっては―の臣となって群生を利し給ふ」〈太平記・一二〉

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普及版 字通「塩梅」の解説

【塩梅】えんばい・あんばい

塩味と酢味。ほどよく調和すること。〔文心雕竜声律〕聲、鹽を得れば、槿(ゆきん)(楡の菫菜)よりも滑らかなり。

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