改訂新版 世界大百科事典 「排気タービン」の意味・わかりやすい解説
排気タービン (はいきタービン)
exhaust gas turbine
内燃機関の排気ガスのもつエネルギーによって駆動されるタービン。ガスタービンの1種である。ふつう,遠心式圧縮機を駆動して過給空気を作るのに利用される。この場合,一般には排気タービンと圧縮機とがユニットとしてまとめられており,この装置をとくに排気ターボ過給機exhaust turbocharger,あるいはターボチャージャーと呼ぶ。排気ターボ過給の適用によって,ディーゼルエンジンでは100%以上の出力増大と10%以上の燃料消費低減が達成されているが,ガソリンエンジンなどの火花点火機関では,ノッキングのため高度の過給はレース用機関に限られる。排気タービンの出力を,減速機を介して機関のクランク軸に戻し,出力増大,燃費低減を図る方式はターボコンパウンド機関と呼ばれ,かつて一部の航空機で実用化された。この方式のむずかしさは,超高速回転のタービンと比較的低速回転のクランク軸を,高効率でしかもむりなく連結する減速装置と流体継手の設計にある。なお,蒸気ハンマーや蒸気プレスなどで使用された排蒸気を膨張させて動力を発生させる低圧復水タービンも排気タービンexhaust steam turbineと呼ばれる。
→過給機
執筆者:酒井 宏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報