圧縮機(読み)アッシュクキ(英語表記)compressor

翻訳|compressor

デジタル大辞泉 「圧縮機」の意味・読み・例文・類語

あっしゅく‐き【圧縮機】

気体を圧縮して必要な高圧状態にする機械。コンプレッサー圧縮ポンプ

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精選版 日本国語大辞典 「圧縮機」の意味・読み・例文・類語

あっしゅく‐き【圧縮機】

  1. 〘 名詞 〙 気体を圧縮し、その圧力を高めるために用いる機械。圧搾機コンプレッサー。

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改訂新版 世界大百科事典 「圧縮機」の意味・わかりやすい解説

圧縮機 (あっしゅくき)
compressor

コンプレッサーともいう。外部より取り入れた気体に仕事(機械的エネルギー)を加え,気体のもつ力学的エネルギー(圧力,速度)を増加させ,それを最終的に圧力に変換して高圧の気体を得る機械。

 それほど圧力の高くない気体を送風することはすでに古くから冶金などに利用されてきたが,18世紀になって蒸気,水力を動力源とした往復送風機が出現した。20世紀初頭にはイギリスのC.A.パーソンズの軸流圧縮機や,フランスのC.E.A.ラトーの発案に基づく蒸気タービン駆動の遠心圧縮機などターボ型圧縮機が製作されるようになって高圧の気体が得られるようになり,その後,製鉄,鉱山,化学工業などにおいて圧縮機の需要が増え,その構造,機能および性能などが飛躍的に改善されてきた。とくに軸流圧縮機は第2次世界大戦後,航空用ジェットエンジンとともに本格的進歩を遂げ,遠心圧縮機と並んで産業用としても多用されている。

圧縮機の能力は,得られる圧力上昇の程度と取り扱う気体の量で表すことができる。前者は圧縮機出口の圧力(吐出圧力),または圧縮機出口における気体の圧力p2と入口における圧力p1との比p2/p1圧力比)で表し,後者は単位時間当りの流量(質量,もしくは体積)で示す。圧縮機より圧力上昇が低いものは送風機と呼ばれ,さらにファンとブロワーに分けられる。これらはいずれも機械内での上昇圧力の程度により区分されるが,101.3kPa(1気圧),20℃の標準空気を吸い込んだ場合,圧力上昇がゲージ圧(大気圧を基準とし,それから測った圧力の値)で9.807kPa未満のものをファン,9.807kPa以上で98.07kPa未満をブロワー,98.07kPa以上を圧縮機と呼んでいる(日本機械学会での区分による)。
送風機

圧縮機の型式は,ターボ型と容積型に大別される。前者はエネルギー交換の行われる部分が,多数の羽根(または翼)を配列した回転体(羽根車という)からなり,その部分を通過し仕事をされた気体の圧力と速度が増加する型式のものをいう。後者は気体を一定体積内に封じ,その体積をピストンローターなどで減少させ,圧力を上昇させる型式である。

(1)ターボ型圧縮機 遠心圧縮機,斜流圧縮機および軸流圧縮機に分けられる。

遠心圧縮機 羽根が円周上に配列された羽根車に気体が流入し,半径方向に流出するもので,気体は羽根と上・下壁で囲まれた流路内を通過するが,羽根車の回転による遠心力の作用と流路に対する相対的な速度の変化により圧力が上昇し,また,外部からの仕事により気体の絶対的な速度も増加する。この速度の増加分は羽根車に続くディフューザー(拡大流路)部で圧力に変換され,渦室,吐出管を経て圧縮気体が送り出される。さらに高圧気体を必要とする場合は,ディフューザーから戻り通路を経て次の羽根車で同様な過程で昇圧させる。このようなものを多段圧縮機といい,羽根車は直列的に配置される。また段間に冷却器(中間冷却器)を取り付け,圧縮過程で上昇する気体温度を下げることで,駆動動力の減少をはかっている。遠心圧縮機は取扱気体量は3000m3/min程度までと軸流圧縮機に比べて小さいが,段当りの圧力比が2~5程度と高く,構造的にも小型化に適し堅牢である。中間冷却器をもつ多段のものでは,圧力比が6~10程度のものが多いが,ケーシングを特殊な耐圧構造とすることによって,50MPa程度の高圧圧縮も可能で,化学プラントをはじめ産業用として広い用途をもつ。

斜流圧縮機 羽根車部分の流路が回転軸に対し傾斜しており,気体も同方向に流出する。作動原理は遠心圧縮機と同様である。また,この型式は遠心圧縮機と軸流圧縮機との中間的特性をもっていて,遠心圧縮機より流量範囲が広く,羽根車内の流れのパターンに急激な変化が少なく,損失も小さいとみられる。ただし,ディフューザーを含めると,小型,軽量化する場合に難点がある。

軸流圧縮機 羽根車が,円筒状回転体の同一円周上に翼(羽根)が配列されている部分(動翼部)と,その前部および後部でケーシング内面上の同一円周上に翼が植え込まれている固定部分(静翼部)とから成り立っており,動翼部と静翼部の1組を段と呼ぶ。これらの部分を通過する気体は,回転軸にほぼ平行に流れ,動翼部で仕事が加えられ,気体にエネルギーが供給されるため絶対的な速度が増大する。動翼部を通過する際,同部に対しての相対的な速度が減少するとそれに応じて圧力が上昇する。動翼部で増速した気体は次の静翼部で圧力に変換される。軸流圧縮機では,段当りの圧力上昇が小さいため,このような作用を多段で繰り返して昇圧が行われる。運転状態に応じ静翼の取付角を調節できるものもある。軸流圧縮機は,一般に大流量用として1万8000m3/min程度までの気体量の取扱いが可能である。また,効率も高く,段当りの圧力比は小さいが,構造上多段にすることが比較的容易なため,ジェットエンジン,ガスタービンをはじめ,各種産業用として大流量,中圧力の仕様で広い用途をもっている。一般に単体での圧力比は4程度で,それ以上の場合は低圧段と高圧段とに分けて圧縮を行い,圧力比7~10程度に高めることができ,ジェットエンジンでは15程度のものもある。

(2)容積型圧縮機 ローターなどの回転によって容積を減じて圧縮を行う回転圧縮機と,ピストンの往復運動によって圧縮を行う往復圧縮機に分けられる。

回転圧縮機 (a)二葉圧縮機は,ケーシング内に2個のローターが収められており,互いに平行な2回転軸により反対方向に回転する。ローターは2片の凸部をもち,中央がくびれた形状をしている。ケーシングとローターで囲まれた空間内の気体は回転とともに吐出口に送られ,その背圧を受け昇圧される。ローターが3片の凸部からなる三葉圧縮機もある。取扱流量は,容積型の中では大きく,約800m3/minまで,圧力比は1段で約2程度までである。騒音は大きいが,しゅう動部分がなく,無潤滑で作動でき,気体汚染の心配がない。また,弁機構がないので故障が少なく,各種気体の圧送,循環用などの用途がある。(b)ベーン圧縮機は,ケーシングに対しローター軸が偏心しており,ローターには可動板が等間隔に装入され,つねにケーシングとローター間の空間を仕切るような構造になっている。この空間はローターの回転とともに体積が減少し,封入された気体の圧力は上昇して吐出口に送られる。比較的小流量(26m3/min程度)向きであるが,高速回転が可能で小型,軽量化ができる。圧力比は1段で4~8程度,2段で11程度で,おもに種々の空気源用に用いられる。(c)液封圧縮機は,ケーシングに偏心,もしくは同心で取り付けられた羽根車の回転によって,ケーシング内に封入されている液が遠心力の作用でケーシング周辺部に移り,中央部に空間ができることを利用している。吸込口から取り入れた気体は液と羽根との間に密封され,その容積の変化により吐出口へ圧送される。流量範囲は,0.1~100m3/minと小流量の気体の取扱いができ,圧力比は3.5程度まで可能である。なお,真空ポンプとして用いるときは,絶対圧力9.807kPaまでの真空度が得られる。内部にしゅう動部や弁機構がないため,故障も少なく,また,吸気中に塵埃などが混入しても差し支えなく,製紙,化学工業などで利用されている。(d)ねじ圧縮機は,密封性のある雌雄二つのねじ歯形をしたローターを用いたもので,吸入気体は歯間に密封され,ローターの回転に伴ってその空間の体積が徐々に減少して昇圧される。ローターが互いに接触しない構造の無給油式は高速運転が可能で,圧力比は1段で5,2段で10程度までである。また,ケーシング内に給油するものは体積効率も高く,1段で圧力比は8程度がふつうである。容積型の中では,取扱流量も約730m3/minと多く,吐出気体に脈動がほとんどない。保守が容易で化学工業,空気源,冷凍機用など用途は広い。

往復圧縮機 シリンダー内のピストンの往復運動により,シリンダーとピストンで囲まれた体積を周期的に減少させ,そこに密封された気体の圧力を高め,吐出弁より放出するもので,シリンダーの配列方法により種々の型式がある。取扱流量の範囲は容積型の中では広く(約660m3/min以下),圧力比も1段当り2~12程度までである。多段の場合は,段間に中間冷却器を設ける。また,気体に潤滑油の混入を避けるための無給油式もある。一般に,高圧化が容易で圧縮効率も高く,特性が安定しているので,化学工業,動力源,空調など広い用途をもつ。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「圧縮機」の意味・わかりやすい解説

圧縮機
あっしゅくき
compresser

気体を圧縮して高圧状態を得るための機械であり、とくに空気を圧縮するものをエアコンプレッサー(空気圧縮機)とよび分けられることもある。吐出(はきだ)し圧は通常1気圧以上である(大気圧を基準にして取り扱うのが一般で、絶対圧は2気圧である。とくに区別して表す場合にはゲージ圧と称する。この項で示す値はすべてゲージ圧を用いている)。ちなみに、吐出し圧が1気圧以下の場合は送気をする目的に用いられることが多く、通常、吐出し圧が水柱1000ミリメートル(約0.1気圧)未満のものはファン、それ以上1気圧以下のものはブロワーとよび送風機と総称し、圧縮機とは区別されている。

 気体を圧縮する目的としては、(1)高圧ガスのもつ力を利用する、(2)大きい流動抵抗にうちかって送気する、(3)体積を縮小して貯蔵または輸送する、(4)液化する(冷却を伴うことが多い)、(5)膨張により低温を発生させる(液化、蒸発過程を経る方法もある)などがあげられる。

 工業用圧縮機は回転型と容積型とに大別される。回転型ではさらに軸流式と遠心式(多翼型、ラジアル型、ターボ型)に分類され、また容積型のうち回転式はルーツ型、可動翼型、振り子型、ねじ型に、往復式は縦型と横型に分類される。大形圧縮機としては、圧力2000~3000気圧、容量1時間当り3万~5万立方メートル、往復式で段数6~7段、回転型で回転数毎分1万5000回転、動力は数千~3万キロワットのものが鉱業、化学工業などの分野でそれぞれの目的に応じて用いられている。

 運転特性として、とくに回転型圧縮機においては、風量と吐出し圧、効率などの間に各型式固有の特性があるので、この特性に従って運転する必要があり、実用上種々のくふうがなされている。

[河村祐治]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「圧縮機」の意味・わかりやすい解説

圧縮機
あっしゅくき
compressor

コンプレッサともいう。空気その他の気体を圧縮して,高圧化・液化し,または高圧ガス流として吐出する機械。高圧化学工業,天然ガスなどの液化,冷凍,塗装,噴霧,燃焼炉送風,ジェット機関,内燃機関,空気コンベヤ,空気制動など,その機構の利用は非常に広い。通常吐出気流のゲージ圧力が 100kPa (1 kg/cm2 ) 以上のものを圧縮機,それ以下のものは送風機と呼ぶ。さらに送風機のうち 10kPa (0.1 kg/cm2 ) 以上のものはブロワ,それ以下のものはファンとして区別する。送風機・圧縮機の流量は重量流量 ( kg/s ) ,または体積流量 ( m3/s ) で表わす。構造はターボ形 (軸流式,遠心式) と容積形 (回転式,往復式) に大別できる。前者は流量は大きいが圧縮比が小さく,高圧圧縮機には数段重ねる方式をとる。後者は流量は小さいが圧縮比大で,特別高圧用 (最高 1000気圧程度) にはこれをさらに多段とする。いずれも圧縮気体は高温になるので途中で水冷をする。これは用途により使い分けられ,たとえば高圧ボンベのガス圧入やガスの液化・冷凍には多段往復動式,ジェット機関は連続大量供給を要するので軸流式多段圧縮機を用いる。このほかに容積形の回転式として,ベーン圧縮機,スクリュー圧縮機がある。なお,高圧空気の圧力エネルギーを原動力とする圧縮空気機械がある。

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百科事典マイペディア 「圧縮機」の意味・わかりやすい解説

圧縮機【あっしゅくき】

コンプレッサーとも。気体を圧縮して圧力を高める装置のうち,比較的圧力上昇の大きいもの。作動原理上容積型とターボ型に大別される。容積型にはピストン往復と弁の開閉による往復圧縮機,ローターとケーシングの間に気体を圧閉するねじ圧縮機や回転圧縮機などがあり,比較的少量の気体の圧縮に適する。羽根車の回転により流体圧縮するターボ型には軸流圧縮機,遠心圧縮機,斜流圧縮機などがあり,大量の気体を圧縮する場合に用いる。なかでも,軸流圧縮機は航空ジェットエンジンの発達とともに進歩してきたといえる。一つの機械要素により圧縮するものを単段圧縮機,複数の要素によるものを多段圧縮機といい,多段の往復圧縮機には1段あたりの圧縮比が10を超えるものもある。一方,大型の軸流圧縮機には毎秒300m3の大量の空気を圧縮するものもあり,圧縮機の流量と圧力の範囲はきわめて広い。
→関連項目アンローダー空気機械送風機

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化学辞典 第2版 「圧縮機」の解説

圧縮機
アッシュクキ
compressor

気体の吸い込みと圧縮により,圧力の高くなった気体を吐出する機械で,ターボ式と容積式に大別される.ターボ式は多数の翼をもつ羽根車(インペラ)の回転により,空気に運動エネルギーを与える方式であり,さらに気体が軸方向に流れる軸流式と,遠心方向に流れる遠心式とに分かれる.容積式には,シリンダー内をピストンが往復運動する往復式と,ケーシング内を回転子がまわる回転式とがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の圧縮機の言及

【コンパンダー】より

…音声信号に対する雑音,漏話などの影響を軽減するための装置で,信号の振幅を圧縮するコンプレッサーcompressorと,逆に伸張するエクスパンダーexpandorの総称。圧伸器ともいう。…

※「圧縮機」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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