掛流(読み)かけながし

精選版 日本国語大辞典 「掛流」の意味・読み・例文・類語

かけ‐ながし【掛流】

〘名〙
① 一度使用しただけの品物を捨ててしまうこと。また、そのもの。特に、(一度使うと打ちこわして捨てるところから)折敷(おしき)白木膳具(ぜんぐ)などをもいう。つかいすて。
歌舞伎傾城浅間嶽(1698)上「五十日が間、給銀は五枚、彼方(あなた)から小袖が一つと、大小が出る、それもかけ流(なが)しになさるる」
※雑俳・柳多留‐五四(1811)「御不勝手御供廻りはかけ流し」
② その場かぎりのこと。真実さのないこと。
洒落本・青楼日記(1802)優男之私語「そんな懸流(カケナガ)しをいってくれては、へだてができて互にわりいぜ」
③ 流れるのに任せて放置しておくこと。灌漑で田の一端から水を流入させて他端から流出するに任せておくこと、糞尿などを流れ出たままにしておくこと、また、色恋にしまりがなく、だれにでも身を任せることなど。たれながし。
※雑俳・川柳評万句合‐宝暦一三(1763)宮二「鳥の町どうらく者のかけ流し」
故意に人を偽りだますこと。いかさま。詐欺。
魔都(1937‐38)〈久生十蘭一六警視庁も間近い日比谷公園で恐れげもなく堂々と野天詐偽(カケナガシ)を働く」
⑤ 用水利用方法の一つ。番水開始に先だって行なわれる配水方法で、番水日割によらないで用水を自由に流すもの。下流の村では、この水をうけ溜め、水田の床水として植付けの用意をした。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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