掛絡(読み)カラ

デジタル大辞泉 「掛絡」の意味・読み・例文・類語

か‐ら〔クワ‐〕【絡/掛羅/落】

《身に掛けまとうものの意》

㋐主に禅僧が用いる、方形の小さな略式袈裟けさ五条袈裟変形で、両肩から胸の前に垂れるようにまとう。掛子かす
㋑㋐につけてある象牙の輪。
丸い根付け。また、根付けのついている印籠いんろう巾着きんちゃくタバコ入れなどの称。
「象牙の―よりもぐさを取り出だし」〈浮・一代男・五〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「掛絡」の意味・読み・例文・類語

か‐らクヮ‥【掛絡・掛羅】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 掛けて身にまとう物の意 ) 仏語。禅宗浄土宗の僧が、両肩を通して胸間に掛けて用いる小さな方形の袈裟(けさ)。五条衣(安陀会)で、中国、唐の則天武后が禅僧に与えたことに始まる。掛絡袈裟。前五条。掛子(かす)
    1. [初出の実例]「緑衫(ろうさう)の御衣にくゎらといふ袈裟かけさせ給へり」(出典:増鏡(1368‐76頃)一一)
    2. 「袴許りに掛羅(クヮラ)懸けて」(出典:太平記(14C後)二九)
    3. [その他の文献]〔釈氏要覧‐上・法衣〕
  3. に用いてある象牙などの輪。
    1. [初出の実例]「雲は袈裟月はくら共云つべし〈作者不知〉」(出典:俳諧・毛吹草(1638)六)
  4. 根付け。また、根付けのある印籠(いんろう)巾着、タバコ入れなど。
    1. [初出の実例]「つぶの緒じめに、ばへのくゎら、鮫印籠に島巾着は、隠者のよきさげ物なり」(出典:俳諧・宝蔵(1671)三)

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世界大百科事典(旧版)内の掛絡の言及

【衣帯】より

…五条袈裟は,右の脇の下から右半身を前後にまとうように着け,細帯状の威儀(いぎ)と称する付け紐で左肩と左腕に吊りとめる。なお浄土宗などでは,左肩の上に乗せるような形に着ける大五条(おおごじよう)という袈裟があり,禅系諸宗では,首に掛ける絡子(らくす)または掛絡(から)と称する五条袈裟を用いる。七条袈裟は全体の丈が長く膝の下まであり,それを左肩から左腕まで覆うように着けて右の脇の下で前に回し,修多羅(しゆたら)という紐で右胸の部分と左肩の部分を結びとめる。…

※「掛絡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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