推輓(読み)すいばん

精選版 日本国語大辞典 「推輓」の意味・読み・例文・類語

すい‐ばん【推輓・推挽】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「春秋左伝‐襄公一四年」の「衛君必入、夫二子者、或輓之或推之、欲入得乎」による語 ) 後から推(お)し、前からひくこと。転じて、人を推薦すること。
    1. [初出の実例]「諸天転轂。推挽何借羊鹿牛」(出典:峨眉鴉臭集(1415頃)広大翁住海会)
    2. 「尤好奨誉。推挽後進」(出典:随筆山中人饒舌(1813)下)
    3. [その他の文献]〔韓愈‐柳子厚墓誌銘〕

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故事成語を知る辞典 「推輓」の解説

推輓

人を推薦して、よい地位につけること。

[使用例] 夫は田沼老中の推挽によって御側衆に昇進したばかりだし、いまはまた、これも田沼老中の口ぞえで、愛する源太郎の結婚が決まろうとしている[池波正太郎剣客商売|1972]

[由来] 「春秋左氏伝じょうこう一四年」に出て来る話から。紀元前五五九年、春秋時代の中国でのこと。えいという国で内乱が起こり、君主が亡命してしまいました。このとき、亡命先の国のある家臣は、君主の二人の弟が君主をよく補佐しているのを見て、「は、或いはこれき、或いは之を推す(あの二人の弟が、君主を前から引いたり後ろから押したりしてもり立てている)」から、衛の君主は元の地位に戻れるだろう、と述べたということです。「輓」は、「挽」と書くこともあります。

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普及版 字通 「推輓」の読み・字形・画数・意味

【推輓】すいばん

車を後ろから推し、前から輓(ひ)く。おしすすめる。〔左伝、襄十四年〕衞君(亡命中の衛侯)必ず(国に)入らん。夫(か)の二子の、或いは之れを輓(ひ)き、或いは之れを推す。入ること無(な)からんと欲するも、得んや。

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