揚陸艦(読み)ようりくかん(英語表記)landing ship; amphibious warfare vessel

共同通信ニュース用語解説 「揚陸艦」の解説

揚陸艦

沖合から上陸作戦を展開する際、港湾施設に頼らず部隊を揚陸させるための装備を備えた軍艦。このうちヘリコプターや上陸用舟艇を搭載し、機動的に運用する能力を備えたタイプを強襲揚陸艦と呼ぶ。垂直離着陸攻撃機を搭載する艦もある。米海軍は2011年3月の東日本大震災の際、支援活動「トモダチ作戦」の一環として第7艦隊の強襲揚陸艦エセックスを投入した。中国も初の強襲揚陸艦の建造に着手したとされる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「揚陸艦」の意味・わかりやすい解説

揚陸艦
ようりくかん
landing ship; amphibious warfare vessel

水陸両用艦とも呼ばれる。軍隊兵器弾薬,その他軍需品を主として敵国の海岸に揚陸するために用いる軍艦。第2次世界大戦中,日本,アメリカ,イギリスなどで開発され,種々のものが実用化された。戦後は主としてアメリカ,イギリス,旧ソ連で発達した。大別して大型,中型に分類される。大型のものは,排水量 1000t以上,中型は 1000t以下である。日本が戦時中建造した1等輸送艦は,排水量 1800t,速力 22kn,補給搭載能力 250t,上陸用舟艇の「大発」 (14kn特型運貨船) 4隻を積み,人員,物件満載のまま艦尾の斜面を利用して発進する。戦時中 21隻が建造された。2等輸送艦はアメリカのLST (戦車揚陸艦) に似て装甲部隊を接岸揚陸,艦首の扉を開く方式で,排水量 9000t,約 70隻を建造した。アメリカは大型のLSD (ドック式揚陸艦,4000~9000t) ,中型の LST (3000~4000t) ,小型で同種艦の LSM (500t) など多種の揚陸艦を開発した。戦後は LSD (1万~1万 4000t) ,新型 LST (8000t) ,LPH (ヘリコプタ・ドック揚陸艦,1万 8000t) ,LHD (同,4万t) などが開発されているが,従来のものとは異なる船型性能となっている。また揚陸艦を指揮する LCC (揚陸戦指揮艦) も開発された。ロシアには LST式のアリゲーター (約 4000t) ,ロプチャ (約 3000t) ,ポルノクヌイ (約 1000t) ,イワンロゴフ (約1万 3000t) などがある。

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