LSD(読み)えるえすでぃー

日本大百科全書(ニッポニカ) 「LSD」の意味・わかりやすい解説

LSD
えるえすでぃー

強力な幻覚剤(精神異常発現物質)リゼルギン酸ジエチルアミドd-lysergic acid diethylamideのことで、ドイツ語のLyserg säure diäthylamidの頭文字をとった略称。1943年スイスの化学者ホフマンの創製で、麦角(ばっかく)アルカロイドの研究中に異常な気分に襲われた体験から発見された。消化管から容易に吸収され、20マイクログラムの少量の内服で知覚異常や幻覚をはじめ、抑うつ、統合失調症(精神分裂病)に類似の症状を呈する。LSDアメリカにおいて、その幻覚症状がヒッピーとよばれた若者の間で一時愛好され、乱用の結果、麻薬よりもひどい害をもたらしたことから法律によって厳しく規制されるようになった。LSDの幻覚作用は、物がゆがんで見え、壁のしみが人の顔に見えたり、人の顔は漫画化されたように誇張され、彩色感が強まり、極彩色の映像が明滅し、音に触れるような超自然的な感興をおこして異常な心境に引き込まれ、悲観から楽観へ急変したり、逆に不安や恐怖に襲われるなど情動面の変化が激しく、奇抜な空想や妄想的非現実性狂信で忘我の状態となる。

 LSDはまだ臨床的応用が確認されておらず、特殊な精神障害をおこすことによって精神生理学精神薬理学分野で単に実験的な使用が考えられているにすぎない。クロルプロマジンなどのフェノチアジン系薬物によって拮抗(きっこう)されることがわかっている。日本では1970年(昭和45)2月に、LSDとその塩類が麻薬に指定された。

[幸保文治]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「LSD」の意味・わかりやすい解説

LSD
エルエスディー
landing ship dock

ドック揚陸艦の一種。排水量約 4000~9000t級で,船体後部はドックになっており,ここに上陸用舟艇 (揚陸艇) が収容されている。上陸に際しては,ドックに水を張り,上陸作戦用人員と機材を乗せた揚陸艇を浮べ,艦尾の後扉を開いて海上へと発進させる。第2次世界大戦中,アメリカで数多く建造された。戦後も多くの改良型がアメリカで建造され,新型の LSD (1万~1万 4000t級,20kn以上) は数種類となった。いずれもドック上方はヘリコプタ用にあてられている。

LSD
エルエスディー

幻覚剤。呼称は,麦角アルカロイドの基体をなすリセルグ酸のジエチルアミド誘導体 lysergic acid diethylamideの頭文字をとったもの。色,味,臭いがなく,少量で効果が強く,いわば実験精神病をつくりだす。アメリカの学生や芸術家の間で一時濫用され,社会問題となった。

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