中・近世の歴史用語。近世には損面とも書く。作毛が干ばつや風水害,虫害などの自然災害による被害をこうむった際,年貢所当米を減免または免除されることをいう。〈損免の事,庄例郷例有りと雖も,先々次第棄破せられおわんぬ。自今以後に於いては,所務人地主名主作人等立相内検せしめ,立毛に応じて之を乞い,下行有るべし〉(六角氏式目13条)などと見えるように,中世においては自然災害による被害がひどい場合,百姓たちは損免要求を行い,作毛を刈り取らず領主側に被害状況を認識させ,収穫の減少することを認めさせる手続が必要となる。代官の派遣を得て内検注による調査が行われ,通常の収穫のあった〈得田〉と被害をうけた〈損田〉とを調査した上で,年貢決算が行われた。少額の減免は例年みられたが,大規模な損免は百姓らの損免要求の力に負うところが大きかった。近世の場合にはこの調査を検見(けみ)といった。
執筆者:太田 順三
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…これを回避するための策として,特別の場合には,全収穫物を三つに分け,くじ引きによって3分の2を給人が年貢として徴収し,残り3分の1を百姓が作徳(さくとく)として取った。豊臣政権下の年貢は一般に二公一民制といわれているが,これは年貢納入をめぐる紛争の解決策として用意された規定(損免規定)であり,年貢免率決定権は個々の領主(給人)が握っていたことに注意する必要があろう。
[石高制の成立]
年貢の免率決定に象徴される領主・農民間の基本的階級関係は,石高制に基礎をおいた生産物地代収取の原則として定められる。…
※「損免」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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