損免(読み)そんめん

精選版 日本国語大辞典 「損免」の意味・読み・例文・類語

そん‐めん【損免】

  1. 〘 名詞 〙 中世近世干害虫害風水害などの自然災害農作物被害を受けた田地について、調査報告にもとづいて租税減免すること。また、その田地。
    1. [初出の実例]「重て損免可給候」(出典東寺百合文書‐を・宝徳二年(1450)九月二〇日・三浦為継書状)

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改訂新版 世界大百科事典 「損免」の意味・わかりやすい解説

損免 (そんめん)

中・近世の歴史用語。近世には損面とも書く。作毛が干ばつや風水害,虫害などの自然災害による被害をこうむった際,年貢所当米を減免または免除されることをいう。〈損免の事,庄例郷例有りと雖も,先々次第棄破せられおわんぬ。自今以後に於いては,所務人地主名主作人等立相内検せしめ,立毛に応じて之を乞い,下行有るべし〉(六角氏式目13条)などと見えるように,中世においては自然災害による被害がひどい場合,百姓たちは損免要求を行い,作毛を刈り取らず領主側に被害状況を認識させ,収穫の減少することを認めさせる手続が必要となる。代官の派遣を得て内検注による調査が行われ,通常の収穫のあった〈得田〉と被害をうけた〈損田〉とを調査した上で,年貢決算が行われた。少額の減免は例年みられたが,大規模な損免は百姓らの損免要求の力に負うところが大きかった。近世の場合にはこの調査を検見(けみ)といった。
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世界大百科事典(旧版)内の損免の言及

【太閤検地】より

…これを回避するための策として,特別の場合には,全収穫物を三つに分け,くじ引きによって3分の2を給人が年貢として徴収し,残り3分の1を百姓が作徳(さくとく)として取った。豊臣政権下の年貢は一般に二公一民制といわれているが,これは年貢納入をめぐる紛争の解決策として用意された規定(損免規定)であり,年貢免率決定権は個々の領主(給人)が握っていたことに注意する必要があろう。
[石高制の成立]
 年貢の免率決定に象徴される領主・農民間の基本的階級関係は,石高制に基礎をおいた生産物地代収取の原則として定められる。…

※「損免」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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