中国や日本の仏教において,捕獲した魚介を購い,生かし放つ池を称していい,慈悲行の表れを意味する。仏典の《金光明経》第四品流水長者子品や《梵網経(ぼんもうきよう)》などの不殺放生に関係する。6世紀,天台の開祖智顗(ちぎ)が漁民のとった魚の多きを憐れみ,国清寺の近くに池を作り放ったのが最初という。唐代の759年(乾元2)粛宗が長江(揚子江)沿岸の州県城に放生池81所を設け,顔真卿がそれに関する碑銘を書いた。宋代,杭州西湖の三潭印月の周囲を放生池とし,仏生日に供養の放生会を催したことは有名である。日本では持統天皇が摂津等の地に放生池を設けたことが知られる。後世になると寺社の境内に放生池をつくることが多く行われた。
執筆者:梅原 郁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…こうして,鯉は竜王の太子,または王女の化したものと考えられたため,信心家は鯉を食うことを避け,仏菩薩の縁日にはこれを買って川や池に放生する風習も生じた。寺院の放生池に鯉が飼われているのもこの信仰による。【沢田 瑞穂】。…
※「放生池」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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