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捕獲された鳥類魚類を山野池沼に解放する仏会。《梵網経》《金光明経》に放生は作善の一つとあり,中国においても放生の法会が行われたが,なかでも著名なのは,759年(乾元2)に唐の粛宗が81ヵ所の放生池(ほうじようち)を設け,顔真卿が碑文を作ったことである。日本でも仏教の流布とともに殺生禁断と放生の思想が高まり,676年(天武5)諸国に放生を行わせたのが初見で,689年(持統3)に摂津国武庫海(むこのうみ),紀伊国那耆野(なきの),伊賀国伊賀郡に特定の地区を設けて殺生禁断の所と定め,697年(文武1)には毎年諸国で放生を行わせることにした。ことに720年(養老4)に九州の隼人の反乱を鎮圧したあと,宇佐八幡宮で放生をし,石清水(いわしみず)八幡宮が山城国に勧請されてのち,863年(貞観5)からは毎年8月15日に行われるにいたった(石清水祭)。同宮の放生会はのちには勅会となり著名であるが,すでに759年(天平宝字3)6月に唐僧で律僧の曇静が奏して,諸国に放生池が造られ,放生田を設けて,その収穫した米で魚を買い取り放魚したという。東大寺の鏡池は八幡池といわれ,ときに今日でも放生が行われ,四天王寺にも聖霊院の後方に放生池があった。
執筆者:堀池 春峰
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仏教の不殺生(ふせっしょう)、不食肉の戒めに基づき、鳥魚などを野や海などに放って命を救う法会(ほうえ)。『梵網経(ぼんもうきょう)』に、生類は人間の前世の父母かもしれないから、その命を救い、教えて仏道を完成させてやるべきだといい、『金光明経(こんこうみょうきょう)』には、釈迦(しゃか)が前世で流水長者であったとき、流れを止められ死にそうな魚のために、20頭の大象に水を運ばせこれを注いで命を救い、忉利天(とうりてん)に生まれさせたなどと、大乗仏典に放生を勧めている。中国南北朝時代末の天台智顗(ちぎ)が放生池をつくり殺生を止めた話は有名である。日本では578年(敏達天皇7)の放生以来、為政者や権門が放生会を営み、あるいは一般でも慈悲(じひ)行、災いの回避を目的として放生が行われた。石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)、宇佐八幡宮の放生会は、戦乱で死者を出した罪の償いとして始められた歴史がある。また、叡尊(えいぞん)が宇治平等院で、漁民に菩薩戒(ぼさつかい)を授け、放生院を再建し、宇治川などに殺生禁断の場所を設けたことなどはよく知られている。
[木内曉央]
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捕らえた虫・魚・動物などの生き物を解き放って自由にする法会。殺生や肉食を戒める慈悲の実践として,ふつう陰暦の8月15日に行われる。その趣旨や因縁は「梵網経」「金光明最勝王経」ほかの諸経典にみられる。とくに京都石清水(いわしみず)八幡宮,鎌倉鶴岡八幡宮のものが有名。石清水で隼人(はやと)征伐の滅罪のために始まったという。鶴岡のものは,石清水をまねて1187年(文治3)に始まり,石清水放生会にはない流鏑馬(やぶさめ)儀礼が特色。
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出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報
…実際の流行は宋代以後で,近代には浄土教や密教と混じて種々の儀軌や賛文がつくられ,一種の民俗行事となった。日本では,別の起源をもつ施餓飢会や,水中に魚をかえす放生会が流行し,水陸会の記録はないが,その功徳によって,先亡の追善をねがう意は同じである。【柳田 聖山】。…
…鳥獣虫魚にも霊魂があると考え,これらを殺生捕獲した者がその霊を慰めようとして,神道もしくは仏教の儀礼によって供養を営むこと。古くは八幡宮において魚鳥を放って殺生の罪を謝した放生会(ほうじようえ)なども,神慮をなぐさめるとはいいながら直接には殺されないですむ魚鳥を喜ばせ,これによって供養する者が心を安んじるのが目的であった。現代では牛馬の屠場業者,魚市場や養鶏業の関係者など生肉,卵,鮮魚などを取り扱う人々が,この種の動物霊の供養を年々の行事として挙行する場合が多く,捕鯨・狩猟関係の人々も仲間ごとに供養碑などの建立を行っている。…
…《三宝絵詞》には奈良,京都の寺々の代表的な法会が収められ,10世紀ころの仏事の盛行がうかがわれる。釈迦の慈悲の実現を具現化した窮民救済の文殊会や,生類の解放を示した放生会も,その法要の形式は失われたが,仏教界では今日に伝わっている。【堀池 春峰】。…
…唐代の759年(乾元2)粛宗が長江(揚子江)沿岸の州県城に放生池81所を設け,顔真卿がそれに関する碑銘を書いた。宋代,杭州西湖の三潭印月の周囲を放生池とし,仏生日に供養の放生会を催したことは有名である。日本では持統天皇が摂津等の地に放生池を設けたことが知られる。…
※「放生会」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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