日本大百科全書(ニッポニカ) 「教育訓練給付金」の意味・わかりやすい解説
教育訓練給付金
きょういくくんれんきゅうふきん
働く人の能力開発を支援するため、雇用保険制度で設けられている支給金。一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者(在職者)または一般被保険者であった離職者が、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練講座を自己負担で受講した場合、費用の一部が支給される制度である。教育訓練給付、教育訓練給付制度、教育訓練給付金制度ともいう。1998年(平成10)に再就職支援の一環として始まった制度であるが、政府の日本再興戦略において見直された。2014年(平成26)10月より従来の支援制度を一般教育訓練給付金として存続させたうえで、新たに資格で経歴を高めたい人や非正規雇用で働いている人が専門的な職業能力を身につけることを支援する専門実践教育訓練給付金が創設された。
一般教育訓練給付金は、雇用保険に原則3年以上加入している人や3年以上加入していた離職者が対象で、受講費用の20%、上限10万円まで1回限りの支援が受けられる。厚生労働大臣指定の講座を修了後、ハローワークに領収証などを添付した申請書類を提出することにより支給される。
専門実践教育訓練給付金は、雇用保険に原則として10年以上加入している人か、10年以上加入していた離職者を対象とし、訓練費用の40%、年間32万円を上限として最長3年間給付される。さらに、訓練を修了して資格などを取得し、1年以内に就職につながった場合は、訓練費用の20%が追加給付される。申請する場合は、まずハローワークで教育訓練対応のキャリアコンサルティングを受け、受講開始の1か月前までに受給資格を確認して申請し、以降は6か月ごとに支給申請を行い給付を受ける。
また、2019年3月末までの時限措置として、専門実践教育訓練給付金の受給資格をもつ45歳未満の離職者は、一定の要件を満たすことにより訓練期間中に教育訓練支援給付金を受けられる。金額は、雇用保険の基本手当日額の半額程度で、2か月ごとに支給される。
なお、この制度を一度利用すると、次回は雇用保険の加入期間が新たに要件を満たすまで支給対象とならない。
[編集部]