雇用保険(読み)こようほけん

ASCII.jpデジタル用語辞典の解説

雇用保険

厚生労働省が保険者となり、行なっている保険事業。失業者への給付を行なうため、「失業保険」とも呼ばれる。雇用保険の目的は、労働者がなんらかの理由で失業に陥った時に、再就職までの生活を安定させ、就職活動を円滑に行なえるよう支援する。重要なのは「再就職」が前提であり、再就職の意志がない場合は保険給付を受けることはできないことである。給付だけでなく失業の予防や雇用状態の是正など、労働環境の福祉にかかわる役目を担っているのが雇用保険事業で、雇用保険と労災保険をあわせて「労働保険」という。個人経営で4人以下の農林水産業を除く、すべての事業所で加入しなくてはならない強制保険

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知恵蔵の解説

雇用保険

失業等給付と雇用3事業を主な事業内容とする制度。その基盤となる雇用保険法(1974年制定、75年施行)は、それまでの失業保険法を拡充したものである。それによって失業者に対する失業給付を中心としつつも、職業の安定のために失業の回避や雇用機会の増大・雇用構造の改善、労働者の能力の開発・向上、福祉の増進を図る(雇用保険3事業)総合的な保険制度を目指している。現行の雇用保険制度は、政府管掌の強制保険制度で、労働者と事業主が負担する保険料国庫負担が財源。2003年には悪化した雇用保険財政の立て直しのため、失業手当の大幅カットを柱とした改正雇用保険法が成立した(同年5月施行)。また正社員とパートの二本立てだった給付日数基準も一本化された。その他、早期再就職を促すための「就業促進手当」の新設、「教育訓練給付」など雇用事業に関する見直しも行われている。

(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2007年)

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百科事典マイペディアの解説

雇用保険【こようほけん】

失業保険法に代わって施行された雇用保険法(1974制定1975年施行)に基づき,労働者が失業した場合に必要な給付を行い,労働者の生活の安定を図るとともに,求職活動を促進する保険。雇用改善事業,能力開発事業,雇用福祉事業の三事業を目的とする。政府が保険者となり,原則として全産業に適用されている。1997年改正で雇用改善事業にかわり雇用安定事業が規定された。2007年改正により,保険料の無駄遣いとされた雇用福祉事業が廃され二事業となった。また,被保険者及び受給資格要件の一本化や国庫負担の見直し等の改正が行われた。2010年改正では非正規社員が雇用保険に入る条件の緩和を柱としている。この改正によって255万人(当時)が新たに加入対象になるとされる一方,労使で負担する雇用保険料率は賃金の1.1%から1.55%に引き上げられた。2014年改正では男女ともに育児休業を取得することを更に促進するため,育児休業給付について休業開始後6ヵ月について給付割合を引き上げること,また従来の再就職手当に加え,離職時賃金と再就職後賃金の差額の6ヵ月分を一時金として給付することなどが盛り込まれた。被保険者には,一般被保険者,短期雇用特例被保険者,日雇労働被保険者の3種があり,給付は,求職者給付就職促進給付,教育訓練給付,雇用継続給付の4種が基本である。ちなみに,2009年3月に国際労働機関(ILO)が発表した,リーマンショック以降の世界経済危機が雇用に与えた影響についての調査報告書では,日本における失業手当(雇用保険制度における基本手当)を受給できない失業者の割合は77%とされる。経済危機の発端となったアメリカ57%,カナダ57%,イギリス40%,フランス18%,ドイツ13%であり,日本は先進国中で最悪の水準でアメリカやカナダをも大きく上回る結果となっている。日本が飛びぬけて失業手当が受給できない失業者の割合が高くなった理由として,失業手当受給要件が他国よりも厳しいことが指摘されている。これに加え,急激に増加した派遣社員や契約社員などの非正規労働者に失業手当を受給するために必要な保険料納付期間が満たせない者が多いことも原因と見られる(2010年改正で若干改善された)。失業手当を受け取れない失業者の人数は,アメリカが最多の630万人,日本は210万人,イギリスは80万人,カナダは70万人,フランスは40万人,ドイツも40万人であり,日本とアメリカが突出して多いと指摘されている。
→関連項目育児・介護休業法雇用対策法雇用調整助成金社会保険

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人材マネジメント用語集の解説

雇用保険

・employment insurance
・雇用保険は、雇用保険法に定められた失業給付のほか、失業の予防、雇用構造の改善、労働者の職業能力の開発・向上、その他労働者の福祉の増進等を目的として、各種の助成・援助を行うものをいう。
・雇用保険の保険者は「国」であり、公共職業安定所(ハローワーク)が事務を取り扱っている。掛け金は事業主と労働者が原則折半して負担する。
・労働者を一人でも雇用する事業主は、事業主・労働者が希望すると否とにかかわらず、すべて適用事業となる(農林水産事業のうち労働者が5人未満の個人経営の事業については、当分の間任意適用事業となる)。

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ビジネス用語集の解説

雇用保険

雇用保険とは、失業した場合に必要な給付を受けたり、
雇用安定事業などを行うために設けられた公的な保険制度のことをいいます。

雇用保険には加入資格要件があり、
派遣・アルバイト・パートなどの雇用形態で働く場合には、
1年以上引き続き雇用されることが見込まれ、
1週間あたりの所定労働時間が30時間以上あることとされています。

毎月納める雇用保険料は、個人の収入額ごとに異なってきます。

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ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

雇用保険

失業者に対し一定期間の生活を保障するために失業給付を行う公的保険。 失業給付のほか、1)失業予防や雇用機会増大などを図る雇用安定事業、2)労働環境の改善などを図る雇用福祉事業、3)職業訓練や教育訓練給付などの能力開発事業も行う。 原則として労働者を雇用するすべての事業所が適用対象となる。 給付金の財源は、保険料(労使が折半)と国庫からなるが、失業者の急増により財政状況が悪化。そのため2001年4月より雇用保険法が改正され、保険料率と国庫負担の引き上げや失業給付の日数変更などが行われた。

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世界大百科事典 第2版の解説

こようほけん【雇用保険】

1947年に日本では初めて導入された失業保険に代わって74年に成立。75年4月から実施された失業を保険事故とする社会保険制度。失業した労働者の生活を保障するための求職者給付が中心となるほか,再就職を促進するための就職促進給付,さらには労働者の職業の安定化を目的とし,事業主単独負担による財源を使って事業主への助成を行う雇用安定,能力開発,雇用福祉の各事業が創設された。その後,人口の高齢化・少子化が進むなかで,高齢労働者や乳児を抱える女性労働者の職業生活の継続を支援することを目的に,94年雇用保険法等の改正が行われ,主要部分は95年4月実施された。

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大辞林 第三版の解説

こようほけん【雇用保険】

失業保険に代えて1975年(昭和50)から行われている、雇用に関する総合的保険制度。失業給付のほか、企業の行う雇用安定・雇用改善・能力開発・雇用福祉事業に助成を行う。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

雇用保険
こようほけん

労働者が失業した場合などに失業等給付を支給するともに、雇用安定事業および能力開発事業の2事業(雇用保険二事業)を行う保険制度。雇用保険法(昭和49年法律第116号)に基づく。従来の失業保険にかわって1975年(昭和50)に発足した。
 失業等給付には、失業者への求職者給付のほか、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付(高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付)がある。また前記2事業のうち、雇用安定事業には、雇用調整助成金、労働移動や地域雇用開発を支援する助成金等があり、能力開発事業には、職業能力開発施設の設置運営、事業主による能力開発に対する助成金等がある。
 雇用保険は、原則としてすべての事業を適用対象としているが、農林水産業の5人未満の個人事業は暫定的に任意適用で、公務員は適用除外になっている。適用事業に雇用される労働者は当然に雇用保険の被保険者になる。なお、従来は適用除外とされていた65歳以降に雇用された者についても、2017年(平成29)1月から、雇用保険が適用される。
 雇用保険の費用は、事業主と被保険者が負担する保険料と国庫負担によりまかなわれる。失業等給付の保険料率は賃金総額の0.8%(2017~2019年度は時限措置として0.6%)で、事業主と被保険者が折半して負担する。2事業の保険料率は0.3%で、全額を事業主が負担する。なお、農林水産業、清酒製造業および建設業については、季節的労働者が多く失業の発生率が高いため、やや高い保険料率になっている。国庫負担は、求職者給付の25%、雇用継続給付(高年齢雇用継続給付を除く)の12.5%が原則であるが、2007年から当分の間、求職者給付については本来の負担額の55%にあたる13.75%(2017~2019年度は時限措置として10%にあたる2.5%)に引き下げられている。[山崎泰彦]

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