改訂新版 世界大百科事典 「斉家坪遺跡」の意味・わかりやすい解説
斉家坪遺跡 (せいかへいいせき)
Qí jiā píng yí zhǐ
中国甘粛省広河県,洮河西岸にある斉家文化の標準遺跡。1924年J.G.アンダーソンが調査し,甘粛六期編年の最初に位置づけたが,その後の調査で甘粛仰韶文化よりも新しく辛店文化(辛店遺跡)より古いことが明らかとなった。炭素14法の測定値も前2100年をさかのぼらず,中原の竜山文化の遅い段階に並行している。遺跡は南北500m,東西200~300mの地域にわたる。磨製の石斧,片刃石斧,石鏃,石庖丁と,骨針や骨錐などの骨器が出土。土器は表採の馬家窯類型の彩陶片を除いて,泥質紅陶の鉢,アンフォラ形壺と夾砂質紅褐陶の粗縄文を印した甕,鬲(れき),甑,高杯などがある。75年甘粛省博物館が行った再調査で青銅鏡が出土し,またほかの多くの斉家文化の遺跡から斧,刀子,短剣,鎌,錐,指輪など,多種でしかも鍛造・鋳造と純銅・青銅の銅器が発見されており,すでに青銅器時代を迎えていることを示している。斉家文化は陝西竜山文化の影響を強く受けており,西北地域に波及した竜山文化の所産といえる。
執筆者:横田 禎昭
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