塔から斜めに張ったケーブルで橋桁をつった橋。橋桁は充腹桁またはトラス構造であるが,長さのわりに桁の高さを小さくできる。斜張橋の着想は17世紀にさかのぼり,19世紀前半には実施例も見られたが,事故が重なり,しばらくは忘れ去られていた。再び脚光を浴びるようになったのは,第2次世界大戦後西ドイツの技術者によって装い新たに次々と建設されてからで,以後は急速に世界各地に広まった。これは,工法・構造理論の進歩によって経済的かつ信頼に足る設計が可能となり,しかもその形態が近代感覚にマッチしているためといえる。特徴は適用範囲の広さと形態の多様さにある。鋼斜張橋に関しては日本は世界にぬきんでた実績を有する。斜張橋は力学原理のうえからはつり橋と異なるが,つり橋と同じくケーブルを主部材とするため剛性が比較的低く,風による振動を防ぐさまざまなくふうが必要となることが多い。
→橋
執筆者:伊藤 学
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…材料,工法,電子計算機を駆使しての設計手法における進歩がその契機となった。西ドイツにおいては鋼床板付き箱桁や斜張橋の採用により,それまで見られなかった軽量かつスマートな鋼橋が続々誕生した。長大つり橋ももはやアメリカの独占ではなくなり,支間1000m前後のテジョー川橋(リスボン),フォース道路橋,セバーン橋(ともにイギリス),ボスポラス海峡橋の諸つり橋のほか,1981年完成のハンバー橋(イギリス,支間1410m)はニューヨークのベラザノ・ナローズ橋(支間1298m)をしのいで世界一の座を奪った。…
※「斜張橋」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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