トラス(英語表記)truss

翻訳|truss

デジタル大辞泉 「トラス」の意味・読み・例文・類語

トラス(Liz Truss)

[1975~ ]英国政治家首相オックスフォード大学卒業後、石油・通信業界で働き、2010年に下院議員に当選。司法相・外相などを経て2022年、首相に就任。→スナク

トラス(truss)

直線的な材料を用い、三角形基本単位とする構造の骨組みで、各部材の節点を回転自由なピン接合としたもの。屋根組み・鉄橋などに使用。結構。→ラーメン

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精選版 日本国語大辞典 「トラス」の意味・読み・例文・類語

トラス

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] truss ) 建造物などの部材間の接合を回転自由なピン止めとした構成法。三角形を基本の単位とし、各部材の端ではモーメントが零になる。部材に作用する力が材料の歪(ひず)みを考えずに定まるものを静定トラス、そうでないものを不静定トラスという。鉄骨の橋などで多用
    1. [初出の実例]「倉田吉嗣氏の設計に係る構造はトラス形にして」(出典:風俗画報‐一五四号(1897)人事門)

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改訂新版 世界大百科事典 「トラス」の意味・わかりやすい解説

トラス
truss

いくつかの直線棒状の部材の端部を回転自由なヒンジで互いに結合し,適当な形に組み上げた骨組構造。橋,塔,屋根などに用いられる。このようなヒンジ結合の部材からなる構造が安定であるためには,各辺の長さが定まれば形の定まる三角形の骨組みを基本単位として構成されることが必要である。部材の会合点を節点といい,荷重はこの節点に作用するように設計される。したがって,ヒンジ節点であれば,それぞれの部材は引張りか圧縮の軸方向力しか受けない。近代のトラス構造では節点は実際にはヒンジとなっていないが,部材がその長さに比してよほど太くなければさして問題はない。トラスはトラス面が平面であるか否かによって,平面トラス立体トラスに大別される。橋や鉄塔などでは4面あるいは3面の平面トラスを組み合わせた構造とするのがふつうで,任意の外力に対しては立体トラスとして働くことになるが,この場合でも設計の便宜上,一般には面内荷重の作用する平面トラスとして扱う。

 何本かの木材を組み合わせた骨組みを最初に用いたのは16世紀イタリアの建築家A.パラディオであったが,その工法は一般には普及せず,建物などに使われるようになったのは18世紀に入ってからである。初めて橋桁にトラスを用いたトラス橋を架けたのはスイスのグルベンマン兄弟Johannes Grubenmann,Hans Ulrich G.で,18世紀中期にライン川上流などに支間長50mを超える木造トラス橋をいくつか建設している。その最大はチューリヒ郊外の119mの支間長の橋と伝えられているが,事実とすれば古今を通じ最大の木造トラスである。しかしこのころからヨーロッパよりむしろアメリカにおいてトラス構造は発展を遂げ,19世紀にかけての鉄鋼材料の普及と相まって,各地に多くのトラス橋がつくられた。当時骨組みの形に関する特許が次々と申請され,図に示すハウトラスHowe truss,プラットトラスPratt truss,ワーレントラスWarren trussなど,考案者の名を冠したいくつかのものは現在でも使われている。しかし時代とともにいたずらに複雑な骨組みの構造は姿を消し,簡明で軽快な形状のものが残った。橋や屋根においてはこのようなトラスの両端を支持し,その中間に作用する荷重を支えるのがもっとも基本的な使われ方であるが,この場合トラスは全体としてはりと似た作用をする。すなわち鉛直下向きの荷重が加わるとき,下弦材(下側の部材)は引張力を,上弦材は圧縮力を,そして上・下弦材を結ぶ斜材や垂直材はその配置のしかたと力のかかる位置によって圧縮力,引張力のいずれかを受ける。例えば図のうちaのハウトラスの斜材は主として圧縮力を,bのプラットトラスの斜材は主として引張力を受ける。このため引張強さの大きい鋼を材料としてつくられる場合にはプラットトラスが,逆に圧縮に強い木やコンクリートを用いたトラスにはハウトラスが用いられる。また最近の鋼トラス橋には形が軽快で製作面でも有利なワーレントラス(図のc)がよく用いられる。図中のKトラスやダブルワーレントラスは両方向から荷重を受ける場合に適する。トラスは力の流れに沿って部材を配置したむだの少ない構造であるので,巨大な構造物を比較的軽く,しかもじょうぶにつくることができる。しかし方向の異なる部材から構成されるため,美観の面では有利といえない。

 トラス構造の発端は木造であったが,現在はほとんどが鋼構造であり,おのおのの部材は山形鋼,H形鋼,鋼板を溶接してつくられ,H形あるいは箱形断面をしている。大きな力を受けない引張材にはケーブルや丸棒を使うこともあり,また海中構造物などには流体抵抗の小さい円管部材を用いる。プレストレストコンクリート部材でトラス構造がつくられることもあるが,きわめてまれである。鋼トラス構造としては,塔では古いものでパリのエッフェル塔(高さ約312m),日本では東京タワー(333m)が代表的。メキシコ湾の石油掘削用プラットホームにはこの両者をしのぐ巨大な構造物がある。橋としては,カナダのケベック橋(中央支間長548m),大阪の港大橋(中央支間長510m)などが代表的なものである。トラス構造はこのように独立した構造物として存在するほか,建物の屋根,アーチ橋の主部材,つり橋の補剛桁,あるいは他の形式の主構造を結ぶ二次的構造要素としてなど,構造物の一部として用いられることも多い。
骨組構造
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岩石学辞典 「トラス」の解説

トラス

細粒多孔質で層状にならない凝灰岩で,主として粗面岩質のガラス質浮石が水和分解した小さな破片からなっている.この名称はドイツのラヘル湖(Laacher See)地方の堆積物からきている.レオンハルトはトラスは水に運ばれた火山性の岩屑から形成されたと考えた[Leonhard : 1823].ヴェルツィングは熱雲(nuee ardente)に伴われる泥流によって形成されたとした[Voelzing : 1907].セメント工業に使用される.
ポゾランの一種で,レイン河下流産の浮石質火山灰凝灰岩の一種が代表的である.この名称はイタリアの一地方名で,初めライン河支流のブロール(Brohl)河およびネッテ(Nette)河の渓谷に産した.トラスに含まれる珪酸の大部分は無定形質で,ポートランドセメントに水を加えたときに遊離するCaOあるいは漆喰中のCaOなどと容易に結合して膠結物を作るので,セメント混合剤としても用いられる[片山ほか : 1970].

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百科事典マイペディア 「トラス」の意味・わかりやすい解説

トラス

構造物の骨組の一形式。三角形を基本に,部材を回転自在のピンで結合させて部材の軸方向の抵抗力だけで荷重を受けるようにしてある。つなぎ合せを1平面で行うか否かで平面トラスと立体トラスに分けられ,K字を重ねたKトラス,斜材が主として圧縮力を受けるハウトラス,ワーレントラス等がある。
→関連項目構造力学小屋組みトラス橋連続橋

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トラス」の意味・わかりやすい解説

トラス
truss

鉄橋や工場建築の屋根の小屋組み構造などのように,部材の節点が滑節 (ピン接合) になっていて,それぞれの部材同士が三角形に組まれた骨組みの構造物をいう。すべてのトラス部材が一つの平面内にあるものを平面トラス,立体的に広がっているものを立体トラスと区別する。

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世界大百科事典(旧版)内のトラスの言及

【構造力学】より

…単一部材に生ずる応力と変形を対象とする材料力学を基本として成立しており,両者はいちおう区別されているが密接な関係にある。構造力学で取り扱う構造物は,主としてラーメントラスなどの骨組構造で,平面板や曲面板で構成される構造物や地盤のように三次元的に連続した物体は,ふつう弾性学(弾性論)の対象とされている。 構造力学の直接の対象物は,構造物を理想化したモデルである。…

【橋】より

…1604年完成のパリ,セーヌ川のヌフ橋(ポン・ヌフPont Neuf)はその代表的な例である。棒状部材を組み立てたトラスは,このころイタリアのA.パラディオにより考案されたが,実際に初のトラス橋をつくったのは1757年,スイスの大工グルベンマン兄弟Hans Ulrick & Johannes Grubenmannで,彼らはその後もライン川に支間100mを超す木造トラス橋を架けている。 産業革命を契機として,橋の材料も人工の鉄が大量に使えるようになり,1779年イングランド,セバーン川の上流に世界初の鉄の橋コールブルックデール橋が建設された。…

【骨組構造】より

…現実の構造物では,部材と節点とは必ずしも明りょうには区別できないが,その場合にも,部材は太さのない直線に理想化し,その交点である節点は大きさのない点として認識する。 三角形に組んだ部材を基本単位として作られる骨組構造を一般にトラスtrussという。三角形はその各辺が長さを変えない限り形が変わらないので,節点で部材が互いに回転できるようにしてもよい(このような節点をピン節点という)。…

※「トラス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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