日本大百科全書(ニッポニカ) 「断熱反応」の意味・わかりやすい解説 断熱反応だんねつはんのうadiabatic reaction (1)一つの系で、それを取り巻く外部への熱量の放出あるいは外部からの熱量の供給なしに反応がおこる場合をいう。(2)素反応(単位反応)がポテンシャルエネルギーの曲面上に沿っておこると考えた場合、一つの電子状態に対応したポテンシャル曲面上でのみ反応が進行して、別の電子状態への移行、すなわち他のポテンシャル曲面への移行がおこらないとき、この反応を断熱反応という。化学反応の大部分はこれに属する。これに対し、二つの電子状態が接近していて相互作用を及ぼし合える場合には、これらの状態間に遷移がおこり非断熱反応となる。[戸田源治郎] 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例 Sponserd by
化学辞典 第2版 「断熱反応」の解説 断熱反応ダンネツハンノウadiabatic reaction 素反応の原系から生成系への全過程が,同じ電子状態のポテンシャルエネルギー曲面上にある反応.ほとんどの熱反応は,原子核の相対位置の関数としてつくられる最低の電子状態のポテンシャルエネルギー曲面上で起こるので,断熱反応である.たとえば,光の吸収によって分子の電子状態が変化すれば非断熱反応が起こる.また,二つの異なる電子状態のポテンシャルエネルギー曲面が交差するときも非断熱反応が起こることがあるが,その反応速度は一般に小さい. 出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報 Sponserd by