日本大百科全書(ニッポニカ) 「単位反応」の意味・わかりやすい解説
単位反応
たんいはんのう
unit process
化学工業で行われる化学的操作を、燃焼、酸化、還元、水素添加、電解、ニトロ化、ハロゲン化、スルホン化、アルキル化、エステル化、アミノ化、重合、縮合、発酵などのいくつかの基本的な化学反応の形式によって分類したものである。単位操作が化学プロセスのうちおもに物理的操作を対象としているのに対し、化学的操作を対象として1928年アメリカのグロージンP. H. Grogginによって提唱され、引き続き30年代にスレーブR. N. Shreveによって化学工学の教科目に取り入れられ、その著書において、化学工学=単位操作+単位反応 と考えるべきであると強調された。もともと化学反応を工業規模で実施するための反応装置の設計とその合理的な操作条件決定の基礎理論の確立を目標として提案されたものであるが、化学的要素と工学的要素との調和がむずかしく、単位反応の基礎づけと体系化はその後進展せず、化学反応の単なる分類のように解釈され、いまこの用語はほとんど用いられず、単位操作に対して反応操作とよばれることが多い。現在では、反応装置を扱うには、化学反応を気相反応、液相反応などのように、相によって分類するほうが便利であり、化学反応の速度に流動、拡散、伝熱といった物理現象の影響を考慮した工学的扱い、すなわち反応工学に移り変わってきている。
[大竹伝雄]